情熱のイングリッシュローズ * 深井結己
タイトルが凄く印象的でステキだったので、どういう話なのかと思ってたんですが、意外に甘いラブストーリーでした。
表紙を見ても分かるように、これはきっとかわいい子が受なパターンだな…と思って、読む前からちょっとテンション下がっていたのですが、でもまあ深井さんは読ませる方なので、読めばきっと楽しいであろうと言い聞かせて読みました。
そうすると何だか私の苦手なSM的な流れ…?
私はっきりSM苦手です!だって全然気持ちよさそうじゃないんだもん〜。すごい痛そうとしか思えない。
昔はそうでもなかったんですよ、エロいなデヘヘ…って思って読んでいたのです。
それがいつ頃からか、エロいを通り越して痛そう…というリアルな方面に結びついちゃって、もう痛そうで痛そうで、気持ちよさそうじゃないんですよね。
同等の理由で、無理矢理とか強カンとかもあんまりです、だって全然気持ちよさそうじゃないもんな。
…まあそういう訳なのですが、でもこの本、違ったんですよ〜。
最初はそういう感じかなと思ってたんだけども、でも結構可愛らしく初々しく恋愛をしているんですよ。
この綺麗な攻の人がですね、サディスティックな性格破綻者かと思っていたら、なんと不器用で健気な人なのです。凄く繊細そうで、表情とかも綺麗なんだけどどこか可愛らしく、私はまた、この人は受ではないのか…!?とはかない夢を抱いてしまうくらいだったんです。
攻の人がこんだけかわいいなんて、面白くない訳がなく、面白かったです。
痛々しい話が来るよりはよっぽどよかったなあ、安心しました。
以下ネタばれます。
どこにもない国 * 草間さかえ
よかった!!
すっごいよかった、今回ここ最近の草間さんで一番よかった…!!
…って毎回言ってる気がするけども、いやほんとよかったんですよ〜!!
まずタイトルがいいですよねえ、『どこにもない国』。
それからこの表紙と。もう、否応なくイメージが湧き上がります、読む前から世界観が押し寄せてくるみたいです。
んで、戦時中の南方戦線の話なんですね…。
私はこの、南方戦線、という言葉を聞くだけで、胃の底が重くなるような気がして、苦しくてたまらないので、読み始めた時はこれどうしよう、逃げ場所があるだろうか…私の心の。
…と思って恐々読んでたんだけども、やっぱ草間さんだよなあ、逃げ場所はあった。
ちゃんとあった。
私の心の逃げ場所は、大抵の場合、恋愛感情なのです。
恋愛感情と、行き先です。二人の行き先が見えていると、凄く安心するし、読み方が見えた気がして、肩から力が抜けるんですね。
そういう逃げ場所が、ちゃんとあってよかったです。戦争モノは、逃げ場所がない気がするから…。
それから同時収録の短編も全部凄くよかったです、静かで色っぽくて、でも平穏な話ではないんです、凄く刺激的な話なんです。結構キツイ出来事だったり、際どいことが書いてあるにも関わらず、同じ静かなトーンで淡々と語られていて、全てを同じ色で塗りこめたみたいに、色合が一緒なんですよね。でも実際はその奥に、痛いことや辛いことがいっぱいあって、傷は明らかにそこに見えているんですよ。
静かだからこそ、深く響くんだろうなあと思います。言葉がなかったり、気持ちをカタチにしなかったりして、はっきりしたものがそこに見えないからこそ、心にスーッと入り込んでくるのかなあ…とか、色々考えました。
これはOPERAで連載してたものですね。
OPERAはいい話載せてるなあほんと…。
以下ネタばれます。
同級生/卒業生(CD) * 中村明日美子
こないだ同級生のファンブックも出て、今相当頭が同級生で染まっているこの時にちょうどよくCDの感想を!
ずーっと気になってたこのCDだったんですけども、その昔同級生のCDが出るってなった時に、予告みたいな、宣伝でちょっと聞けたりしますよね、公式とかで。どこだか忘れたけど、その時ちょろっと聞いたら、喋り声と歌声が聞こえて、ちょっと聞いただけで、ひぃぃぃ〜〜〜ムリ!あたしムリ!!って思って、ブチっと途中で止めちゃったことがあったんです。
その時まだBLCDなんて聞いた事なかったから、もうこっぱずかしくて鳥肌立ってしかも歌!歌っててもうどうしようかと思って…!!
いや私たぶん、普通よりももっとずっと声優さんの喋り方に慣れてなかったんですよね、アニメを全然見ないから。だからあの時に凄い衝撃を受けて、これは私BLCDは一生聞けないな。
…って思ったのをよく覚えています…。
あれから何年経ったのだろう…。今や声優さんをリスペクトしている私にまでなりました。…ありがとうございます。
そんな訳で私にとって歴史あるこのCD。
いや〜3人とも味があっていい!
初聞きのときは割と流して聞いてたんだけど、何回も何回も聞いてるうちに、この味っぷりが癖になってきますよね、どんどん好きになってくる。
でもCDって大体そうで、聞けば聞くほど味が出て来て好きになるものが多いです。
原先生も佐条も草壁もほんとぴったり!
中でも私は原先生の石川さんがお気に入りでした、も〜ほんっと味があるなあ、何回でも何回でも聞きたいです。私この間もファンブックのとこに書いたけど、石川さんの話ばっかりしてる気がする…。
何故だろう。
友達んちで前何かのDVD見たんだけど…石川さんが喋ってたあの姿をいつも思い出す。何か真剣に語っていらっしゃった。…普通のおっさんだった…っていうか私に言われたくないよね、石川さんもね。
…え?私、石川さんが好きなのだろうか…?
あと、歌がいいですよね〜。石川さんがね〜…うまくて感動。これもはじめは恥ずかしかったのに、何回も聞くうちについつい口ずさむほどにまでなってきて、今日なんて完全に私、鼻歌で歌ってましたから!なんて影響受けやすいの〜〜??
いや、いい歌だ!ふりむーくひとーみに〜…ってほんと今日一日中口ずさんでしまった。
以下もうちょっと詳しく感想です。
秋山くん * のばらあいこ
やばい…。やばーい!!!
最っっ高!!!最っ高に面白かったーーーー!!!!
えええ〜〜〜〜〜!!!!
マジで〜??ほんっとに面白かったです、もう興奮しすぎて途中で読むのやめてしまったくらい面白かった〜!!
私、のばらあいこさんのオリジナルが出るの待ってました。
…と言っても二次を読んだ事があるわけじゃなくて、二次で活躍されてるってことを知っていただけなんですけど、以前何回か読んだのばらあいこさんのオリジナルの短編が、ほんっとに他にない魅力で面白くて、面白くて面白くて、とにかくこの方がオリジナルで頭角を現してこないのはおかしいとずっと思っていて、オリジナルは出ないのか、いつ出るんだとずっと待ってたんです。
で、この度やっと、この一冊が…!!!
あ〜ん…面白かった〜!好き〜!!
絵は味系なので、割と好き嫌い別れるところかもしれないんだけども、すっごくなんつか、理屈じゃない本能的な何か、何かが描かれている感じがして、この興奮はどうしたことだろう、ものすっごい吸引力だと思うんですけど!
いや、私のばらあいこさん、こんなエロシーン描くと全然思ってなくて、これまで読んだ事のある短編もそういうシーンは一切なくて面白かったんですよ。
なのでこれも最初は、ほのぼの系かと思ってたんですよね。読み始めてもそうだと思っていた。でも読んでくにつれて、意外なエロさに驚きました。存在や絵柄や風景は凄く素朴なのに、こんなに卑猥でいやらしいなんて、そぐわなさにゾクゾクします。
何だかね、小汚さとかこっぱずかしさとかがもう満杯に詰まってて、読んでて居たたまれないったらないんですよ。居たたまれなくて、痛々しくてチクチクするんだけど、それが今にも快感に変わりそうなスレスレの危ういところにあるというか、その危うさになんとも激しく興奮する。気持ちいいと傷つきそう…の、合間のところをドキドキしながら歩いているような、そういう気分なんです、読んでる最中。
とにかく、知らない場所なんですよそこは。
きっと気持ちいいに違いないと、その予想でまた何倍にもワクワクする。
ほんっとにもう、興奮するったらなかった、もう面白くって面白くってたまんなかった!!!
以下ネタばれます。
「同級生」「卒業生」公式ファンブック~卒業アルバム * 中村明日美子
ちょっと遅くなってしまったけどやっと購入しましたよ〜!
絶対買おうと思ってたんだけど、ペーパーつきのを買おうかどうしようかずっと迷っていて、アマっちゃうか他所で買っちゃうかずーっとぐだぐだ悩んでいたのです。
けどまあ、結局ペーパーついてるとこで買いました。
まあこういうものはほんと、公式ファンブックというだけあって、持ってるだけで嬉しい満足という類のものなので、手に入ればそれだけでいい…と、あ、まあ少なくとも私はね。私はいつもよく言っちゃうのですが、あんまりストーリー以外に興味がないんですね、なのであんまりイラスト集とか、派生するグッズとかそういうものにはほとんど全く手を出さないんです。そこにストーリーがあれば話は別なんだけども。
でも、何となくこういう、終わってしまったもの…同級生シリーズはもう終わってしまってますよね。
終わってしまったものについて、何かこう…関わっていたいという心理が最近は凄く働いているようで、自分の中でエンドマークをつけたくないので、何か"同級生"と名のつくものにしがみ付いていたいなあ…という感じがして、その上での購入です。
たぶん、これにストーリーがついてなかったとしても買ったと思います、"同級生"にしがみ付いていたいのです。
大好きだから。
まあそんな訳で買ったのですが、以外にしっかりストーリーが入っていたりだとか、あとほんと明日美子さんの絵が好きなんで、絵を見ているだけでも割と満足している自分が居て、何より自分に自分でホッとした。
草壁くんが…本当に好きなんですよね私…。
また草壁くんについてしつこい主張を繰り返しそうほんと…。
まあそれは後で書くとして、なんかオマケとしてステッカーみたいのがついていて可愛かったですよ。
関係ないけど、こういうシールを渡すと必ずうちの彼がべったべた色んな場所に貼りたがって大変だな…というのをシール見て一番初めに思ったことだったんだけども全然関係ないね。
ハードカバーの綺麗な作りで、同級生シリーズの記念って感じだし、買ってよかった!
ちなみに同級生関連の私の感想↓↓↓↓
卒業生 限定小冊子 * 中村明日子
卒業生 -冬・春- * 中村明日美子
同級生 * 中村明日美子
以下内容について、もう少し詳しく感想です。
ジューシィ・サイダー * 神葉理世
神葉さん読むの久しぶりだったんですが、この表紙とタイトルがすっごくいい感じだったので、気になって気になって購入してみました。
そしたら面白かったーーーーー!!!えー大好き!!大好きな感じだった〜!!
神葉さんと言えば私は大好きなのがあって…コレ→
僕の恋の話・ヒメゴト * 神葉理世
これがほんっとにキュンとする高校生のラブストーリーで、いいんですよ〜。私大好き。
で、今回もこの表紙の感じとかに、この甘酸っぱい恋のトキメキを期待したのです。僕の恋の話〜みたいな感じじゃないかなあと。
読んでみると、僕の恋の話〜みたいな感じではなかったけども、でもすっごくよかった。明るくてちょっと笑えるコメディ風味なんですよね。
だけど、高校生がものすっごく可愛らしく、無邪気に純粋にカッコ悪く、好きな相手との関係を進めようと、ああだこうだ必死になってまして、もうその様がね、愛しくてしょうがない。可愛くてしょうがない。
すっごく楽しくて可愛くて本当に身もだえしながら読んでたんだけども、私気付いたの途中で。
受の子、黒髪チビの元気っこじゃないか…?これもっとも私が嫌いな受タイプじゃないか…?あれおかしい。でも全然イヤじゃない。こんな天然風味で無邪気な黒髪の小さい可愛い子、もう絶対趣味じゃない、目も大きいし絶対イヤ。絶対イヤ…だった…はず!!
だのに〜〜〜…可愛いんですけどぉーーーーー!!
そんな自分に物凄く驚いて、これ私ありえない、歴史を塗り替えたのか…?とか色々思ってたんですけどもね、やっぱでもね、この場合、見た目にキャラが勝ったんじゃないかって。
まず見た目もね、この子、受として、じゃなくて、マスコット的に可愛いんですよ!
マスコット的な可愛さ、ぬいぐるみ的な可愛さ、には、"受"を感じないようで、それはそれで凄く可愛いと思える気持ちは持ち合わせているようなのです。
なんかね、そこを突かれた気がするわ。
そんで見た目をとりあえず置いとけるくらい、性格が好きだった。すっごく色気がない呆気らかんとしたとこも好きだったし、鈍いようで鈍くない聡いとこも好きだった。性格的には全然この子、攻でもいいんじゃないかってくらいで、正直言って後半は、これ受攻ひっくり返るんじゃないかってずっと思ってたんですよね。ほんとパキッとはっきり潔い性格をしていたなあ、全然もじもじしないのこの子。
そんで受はそんなんだけどそしたらまた攻がよくて…!!
ってな事は後で書こう、とにかくすっごく面白かったです。
攻のカッコ悪さに何回も笑った。
以下ネタばれます。
オレの男に手を出すな * 猫田リコ
すっっっごい、よかった〜〜!!
私意外にも猫田さん買ったの、初めてかも。…いや、一冊くらい実家にあるかもしれん。がとにかくそのくらい買ってないです。なんでかって…なんでだろう?
作風は麗人にてえらい前から知っているし、いっつも雑誌読んで泣くくらい感動していて、買って裏切られる事はないだろうと知っていた筈なのに、なんでかコミックス買うまで行かなかったんですよね。
これこないだ本屋行って、どうしても何か一冊読みたくて、これがあったので、ふいと気が向いて買ったのです。
いやほんと、ほんともっと早くちゃんと買えばよかった〜…。
泣いた〜…。
これ短編集なんだけど、半分くらいは雑誌で読んだ事がある奴なんですよ。どれもすっごくよくて、好きだった話だったから、当然今回読んでも凄くよくて、泣けました。
…だから、なんで今まで買わなかったんだろう?
不思議でしょうがない。なんかタイミングとか…あるよねそういうのってね…。
猫田さん、ほんと不思議な魅力ですよねえ…。
泣けます。
画風が絵本みたいっていうか、おとぎの世界みたいな感じなんですよね。
あんまりリアリティのない絵柄で、かわいらしいんだけども…勿論可愛い話もあるんだけど…それ以上に凄く皮肉が効いてたりとか、痛ましかったりとか…なんでか凄く寂しい気持ちになって…切ないような気持ちになったりだとか…そういう風には一見見えないけど、読んでみると凄く色んな感情が詰まっていて、グサッと来ます。案外に棘を含んでいるんですよね。
けどあくまで淡々としている。この淡々としたスピードで、これだけのものを見せてくれるのって凄いと思う。全部短編だから、凄くあっさりしているんだけど、笑いながら平気で毒を吐くような、なんかそういうブラックさがあるんですよ。面白いです〜。
もう決めた。猫田さんを集める!
以下ネタばれます。
長い間きみを見ていた * 野火ノビタ
野火ノビタさん久しぶりの新刊です。
表紙を見ると真面目眼鏡が受っぽい風情で、しかもぱらっと捲ったら教師だったんですよ!ヒャッホー!!!
とテンション上がりまして、すっごく楽しみにして読んだんですが…暗っ!不幸です!
でも、暗くて不幸だけど、面白かった!
野火ノビタさんは前回リブレから出した本もこのような感じだったんですよ。
感想も書いてるんだけど、あんまり好きじゃなかったからいい感想書いてないのでリンク貼らない…。
好きじゃなかったっていうのはね、いい話ではあったんだけど、主人公達が抱いている問題や悩みの深さを、私が同じ深さで理解できなかったからなんですね。
物凄く悩んで物凄く切ないことになっているんですけども、読んでいる私が、彼らのその苦しみを、そのまま受け止めることができなくて、凄く他所事のような気がしてしまって、私はちっとも苦しくなかったんです。
…というのは前回の本の事です。これです。
野火 ノビタ |
これがね、私あんまり入り込めなかったんですよ。
だけど今回の本は少なくとも、主人公達の苦しみは理解できました。
凄いシリアスで暗い話ではあったんだけど、不幸の形がはっきりしているから、分かりやすかったんです。
最近はあんまりこういうシリアスなのとか、ザ・不幸!みたいのって見ないんだけど、BL初期とかJune時代にはこういうのばんばんありましたよね、受が徹底的に傷つけられるっていう展開。
今となってはこういう作風の方も減りましたよね〜…深井結己さんなんかは、昔っからずっとそういう作風でやってて、勿論感動もできるしラブストーリーとしても確立されていると思うから凄いと思うなあ。
それから最近では日野ガラスさんが、こういう方面で頑張られているような気がする。まあ、今っぽい匂いもあるんだけども、あのそこはかとなく漂う不幸な匂いは、Juneに通じるものがあると思うなあ。
で、表題作ともう一個違う話が入ってたんだけど、これがなんと、↑に画像貼った『君の顔に射す影』のスピンオフだったんですよ〜!!
で、私はその件の本を、あんまり入り込めなかった…と書いたんですが、唯一凄く気になった子が居まして、その子がこの話の中で、唯一分かりやすく切ないキャラだったんですね。悩みが分かりやすくて等身大だったと思う。でもこの子がとっても可哀想なまま終わってしまいました。
その子の、救済が!
ここに!
載ってたんですよーーーーー!!感動した!!泣いちゃったーーー!!
野火ノビタさんは、絵がすっごく雰囲気があっていいし、私がこういう絵を凄くタイプなので、絵を見ているだけでなんだか切ないような気持ちになるんですよね。
今回の本も本当に絵がよくて、体つきも表情も、ぐっと来る重さがあってよかったです。
以下ネタばれます。
かなしい人はどこにもいない * 山田酉子
やっと出た山田酉子さんの新刊です嬉しい〜!
山田酉子さんと言えばコレ。→ クララはいつも傷だらけ * 山田酉子
これがですね、すーっごく面白かったのです!
なんかね、ちょっといやらしいんですよね。ちょっといやらしくて、ちょっと棘がある。そんで、ふわふわしているように見えて、結構ザックリ来るの。結構切りつけてくるっていう感じなのです。可愛らしい絵なんだけど、その中にちょっとしたどぎつさがあって、グサッとくるんですよね。…乾いてるっていうよりも、じめっと湿ってるって言う感じで……どうだろこの抽象的な感想。ポエマーですよねえ私。
まあとにかく、私凄く好きだった。
けどこれ以降たぶんBLでは新刊見てないと思うので新刊出ないのかな〜って思ってたのでした。
読めて嬉しいです、今回もすっごく面白かった!
なんでだろうな、抽象的な感じがあるのに私は誤魔化されている感じがしないんですよねえ。
好きだ嫌いだとはっきりストレートに書いて話が進んでいく訳じゃないのに、遠回しっていうよりも、とても直接的に感じる。凄く鮮やかな感じがするんですよね、感情がはっきり響いてくるから、不透明な感じがしないのかも。
そんで、なんかこう…読んでると…表現したい欲みたいのが刺激される気がする。この感じ…こういう色合、こういう熱…こそ、私が憧れてやまないものじゃないのだろうか…と、ぞくっとするような感じ。何度も、ざわりざわりと、心を触られているような感覚がするっていうか…私が表現者だったならば、他人に対して持つ熱を、こんな風に表現したい、と凄く思った。私がBLマンガ家だったら、こういう瞬間を書きたい。
全体的に、メジャーになるような作風じゃないと思うんだけど、瞬発力っていうか、瞬間瞬間の読者を引き摺る魅力みたいのって、あるような気がするんだよなあ…。まあ好き嫌い別れるところなのかな、当たり障りがないマンガ家さんではないと思う、このざわざわ来る感じ、嫌な人は嫌かもしれないなあ。
でも私は好きだー。他にいないと思う。
以下ネタばれます。
トライアンドエラー * カシオ
大好きなカシオさんの新刊です〜。
これまでのカシオさんはこれら→
ハートのトートロジー * カシオ
スイッチON! * カシオ
やっぱりカシオさん独特の繊細さっていうのか、足りない感じ、欠けている感じ…まあ紙一重のとこにずーっといらっしゃると思うのですが、私はほんと紙一重でそれらを魅力だと思っているんですよ、理由は簡単で、私がカシオさんを読んだら必ず泣いて胸の痛い思いをするからです。胸に響いてくるからです。
足りないような欠けているような…だけどそういうところが魅力だとも思っているカシオさんなのですが、今回はちょっと薄ぼんやりしてた感じがしました。
受の子の可愛らしさや、男の子たちのちょっと抜けたような、残念な感じは凄く可愛くて好きだったんだけど、どうも全体として、ガツッとイメージを掴みにくい感じがあって、いつもよりはキュンっと来なかったんですよね。なので★一個減っちゃいました。
たぶん途中から三角関係になっていったのが、最初のイメージと違ったってトコロで、もしかしてぼんやりしてた原因なのかなあとも思います。なんでかっていうと、攻役の子よりも、友人くんのほうが、私には魅力的に思えたし、輝いて見えたから。
なので途中から、この友人君にかなり気持ちが移っちゃったんですよねえ。出番もやたらと多かったよね〜。ぶれたのは私の気持ちの方だったかも!
んで同時収録で短編が一個入ってたんですが、私はこっちが凄く好きでした、こっちにはカシオさんらしいきゅ〜〜〜〜〜んっっっという、ぎゅぎゅぎゅ〜〜〜っと来る瞬間が結構あって、ちょっと泣いた。
以下ネタばれます。