くいもの処 明楽(CD) * ヤマシタトモコ
珍しくちょっとCDの感想を。
このCDを友達に聞かせてもらったのですが、すごく良くって!これを良いと思ったのがとても意外だったんです。
私この原作については、キライじゃないんですが大好きというほどでもなかったんですね。なので原作の感想にはあんまりいい事書いてないんですが、でも別にキライって訳じゃなく、むしろ好きと言っていい。
が、どうしても台詞がカッコよすぎるというか、作りこみすぎと言うか、スタイルばっか拘っていてあまり人の気持ちについてはどうだろう、と。言葉ばかりで誤魔化している感が…と言うのも、今となってはその言葉に拘るのがヤマシタさんのスタイルなんだろうと思うんだけど、これは初コミックスなのできっと、それなりにBLっていう、あたしもなんなんだかよく分からないけど、まあ読みやすい形にしようと意識されてたのかな〜とか思うんですが、まあこれ出た当時は、言葉ばかりで恋愛は進まない!と凄く思ったんですよね。
なのでそんなに凄く好き!と言えない感じがあったんです。
ところが…!
ところが、これらの台詞をCDにすると…なんだか凄く嵌っていた…!
全然浮いてないっていうか、作りこみすぎな感じがしないっていうか。私それ、ひとえに声優さんの力だと思います。
幸せになってみませんか? * 腰乃
腰乃さんの待ちに待った新刊です、嬉しい!思い起こせば二日くらい前、この一冊が読めない事で私がどんだけ拗ねたと思うのか…。堪え性がないにも程があるよな、いい加減にせんといかん。
まあしかし読めました、ほんと嬉しかった。そしてやっぱり凄く面白かった!
『隣りの 』が出たのは一年以上前で、きっとあの一冊でかなりのファンがついた筈ですよね。なのにそれ以降一冊も出ないので、本当に待ちくたびれました。やっぱあの下品さ加減がなかなか高いハードルなのだろうか…。
今回の表題作の一回目は雑誌で読んだ事があったんですが、続きを知らなかったので、道のり遠そうなあの二人が、何とかうまい具合に納まっていてくれてホッとしました。
腰乃さん、やっぱエッチシーンの卑猥さというか生々しさというか下品さというかは、ほんと突出していると思うんですが、エッチシーンじゃないところにもいっぱい魅力があると思ってて、確かに凄く癖はあると思うんですよね、でもそれも味になっていると思う。この独特なテンポとか、予想される筋道を少しだけ裏切られる感じとか…あくまで少しだけ。そういうのが読んでてワクワクするというか、凄く楽しい。何が起こるか、それをどう見せてくれるのか、予想できない楽しさがあると思う。
それからほんと気持ち部分が、意外な程繊細なところを突いていたりするんですよね、そういう所にほんの少しリアリティがあるように思うし、あとこの個性的な絵も好きです、シンプルな絵ですよね、書き込まれてない感じが好き。けど下半身は異様に書き込んである感じのこのギャップ…。あ、そこそんな濃いく描いちゃうんだ?こっちこんなに白いのに…?みたいな、そういうギャップがまたいいですよね。
とにかく腰乃さん、個性的。大好きです。
以下ネタばれます。
無口な恋の伝え方 2 * 大和名瀬
『無口な恋の伝え方』 これの続きです。
前回も割と面白かったけど、今回も面白かったです。受の山咲が、ちゃんと恋している分、一巻よりもキュンと来たし、「気持ち悪い!」は相変わらずだったけど、山咲の必死で不器用な恋の仕方が何だかいじらしくって泣いてしまった。
以下ネタばれます。
欲しいもの全部 * 山田2丁目
ところで腰乃さんの新刊が…。やっぱり手に入れられなかった。本気で早く読みたいと思った本は、気合入れて早くから手に入れる算段をつけとかないと、ぼやぼやしていたらいつまでたっても読めないと言う事になります。今回腰乃さんについて気合が足りなかった私の全神経は『いとしい悪魔 * 斑目ヒロ』に向かってしまっていた…。あんなに腰乃さんの新刊読みたかったのに。昨日は自力で行ける近所の本屋に行ってもなかったので、今日は大きい本屋まで連れて行ってもらったのに、それでも売り切れてました。
もうあまりにショボーンとしてしまって、「面白いほどシュンとしている…」とはうちの人談。いやほんと…しょげ返ってしまって、このおしゃべりが黙り始めるので、「わしはどうしてあげたらええわけ?」と、散々機嫌を取ってくれていた。いつもごめんよ、たかだかマンガが一冊今日読めないくらいで…。もっと遠くの本屋に連れてってあげると言ってくれたんですが、さすがにもう夜遅いので、気持ちだけ受け取っておいた。いつもこんなホモマンガが読めないくらいで、だんなさんに「キミは翼をもぎ取られたんか」と言わしめる程にしょんぼりする私。我侭ですよね…。今ネットで頼みました。…はよ頼め!!!って話ですよね、分かります。でも今日読みたい。今日、今、このとき読みたい…!!!!というこの執着こそがオタクたる所以。
まあそんな事は置いといて〜。
この本、画像が出ないのが凄く惜しいんですが、なにやらとてもいい感じの表紙なんですよ。小奇麗な絵で、いい感じの男二人がコック服を着てですねえ、とにかく凄く面白そう。もう一目惚れでした。全く知らない人ですが買ってみました。
それで、凄く面白かったです…!
短編集だったんですが、全部面白かった。絵もいいし、表情とか、感情の描き方も響いてくる感じで、いっぱいきゅんとするところもあって、凄くよかったです。欲を言えばもうちょっとこう、ほんのちょっと物足りないというか、もう一歩行ききってほしい!…っていう心残り感があるにはあったんですが、でも十分面白かったです。そしてやっぱ一番面白かったのは表題作。ほんとね、凄く新鮮でしたよ…!
以下ネタばれます。
極東追憶博物館 * 遙々アルク
は〜…遙々アルクさんはほんっと…。ほんとなんか、ため息ばっかり出てしまう。好きです〜…。
どこがどうってなかなか言葉で表せる類のものじゃないんですよね少なくとも私にとっては。
例えば夕暮れに一人で町を歩いていると何だか物凄く物悲しいけど、その感傷の中身を的確に言葉に表したりできないじゃないですか、でも誰もがその気持ちを何となく分かるから、夕暮れの寂しさ、というだけで誰もの心に何となく感じられる何かがある。
…そういう類の切なさがある。的確に、どこがどんなふうに切ないと言うのは凄く難しいけども、このマンガの中には、人の心に訴えかける何かがあるように思う。
…何だろうそれって。とにかく切ないじゃないですか…。何だか寂しい。切ない。痛々しい。読み終わった後に、心に残る何かがあります。主人公たちはちゃんと幸せな結末を迎えていると言うのに、自分の心には何かこう、欠片が…物語の寂しいところを凝縮した欠片のようなものが、コロンと落ちている。それちゃんと回収して欲しい…。何だか凄く取り残され感があるから…。
なんかさ、普通ハッピーエンドで終わるともう、その先は幸せな未来しか考えなくていいじゃないですか、否応ないハッピーエンドってものはそれでいい筈なのに、この人の話読むと、どんなに幸せな結末を迎えていても、そんなのは凄く束の間のように思えるんですよね。今ココだけのささやかな幸せ…期限付きの、必ずいつか壊れる幸せ。の、ように思えてしまう。だからきっと心残りなんだなあ。
あと凄く思うのが、切ないのと同じくらい、可笑しいですよね…?茶化すのがうまい。ちょっとした仕種とか、ちょっとした台詞やコマに、笑えるところがいっぱいある。人の動きも凄くコミカルで、おもちゃみたいだし、あ、あらすじにいい事書いてあります。
"時にユーモラスに、時に痛みを伴いながらも、全て幸福な結末に辿り着く"
って。そう、そうなんですよ、まさにそうです。その、ユーモラスなところこそ、まさに凄い魅力だと思う。シリアスな話であればあるほど、そのシリアスさを、作品の中で自ら茶化してでもいるような、小ばかにでもしているような面白さがあって、その茶化した感じが、その後にくる切なさを、より一層引き立てているんじゃないかって思います。
物語を楽しむというよりは…やっぱこの、出てくる人の瞬間瞬間を感じるマンガとでも言おうか。勿論、物悲しい絵本のようなストーリーは凄く重要でもあるけども、それをストーリーだけ読んでどうなるものでもないっていうか、意味ないと思う、やっぱりこの人の描くマンガで読まないと。この人の絵で読まないと。そりゃまあ、どんなマンガだってそうなんだけど、この遥々アルクさんは特に、一部だけで判断するんじゃなくて全体で感じ取りたいっていうか…。
とにかく、えもいわれぬこの空気感は、どんだけこうやって説明したって表現できないって事です。
以下ネタばれます。
いとしい悪魔 * 斑目ヒロ
あ〜…面白かった…。とうとうこの日がやってきました。そして今猛烈に寂しい。この『かわいい悪魔』のシリーズが雑誌で始まってからこれまでの年月、常に常に一番楽しみにしていたマンガ、私内ナンバー1でしたよ。本当にもう、読み終わるのが寂しくて寂しくていつまでも終わりたくなかった…。
そう言えばこの間友達が、山中ヒコさんの本を一度に読むのが勿体無いから、たったの一冊を毎日ちょびちょび読み進んでいる、と言っていたのを聞いて凄い笑ってしまったんだけど…そんな新鮮なマンガの読み方始めて聞いたもんで。ちょびちょびなんてとてもじゃないけど耐えられないよね、もう時間ある限りいっぺんに読み尽くしちゃうよ。
がしかし、今回そんなちょびちょび読みたい気持ちが少し分かった。だって読み終わるのが本当に勿体無かったもん。
あー…しかし面白かったです、満足です。…ほんとはもっともっと読みたいけど、でも色々凄く新鮮だったし面白かったから、もういい加減この辺で諦めようと思います、これがまたきゅんとしすぎて、物凄い泣いてしまった…。本当に私、涙の出し所間違えてるよね…がしかし本当に、受メガネが可愛すぎてもう…!!ボロボロボロボロ泣いてしまいました。ほんと面白かったです、この間雑誌買った時に読まないようにしてたの正解だったなあ、一番いいとこだったみたいだし。さっき止めてたクリップをはじめて外したよ、やっぱクライマックスの回でした。
同時収録で全然違う話が入ってたんだけど、こっちも凄く面白かったです。斑目ヒロさんは大抵、ものすっごいカッコいい攻と平凡な受っていう組み合わせですよね、でもそれすっごい上手く描かれるよな〜
以下ネタばれます。
作品ナンバー20 * えすとえむ
えすとえむさんの本たぶんほとんど全部持っていると思うんだけど、最高!!って思った事は今まで一度もない。…けどなにやら引き摺られる魅力があって、やっぱ買っちゃうんですよね。
この本はでも…どうかな、面白くない事はないけど、やっぱりちょっと物足りないかも。
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The end of youth ~あいの、うた~ * 宮本佳野/木原音瀬
良かったです、いいマンガだった。
この話、私原作も大好きなんですね、原作本の中には『あいの、うた』と『The end of youth』の二つの話が入ってるんですけど、二つとも凄くいいんですよ。地味な印象ですけど、じわ〜っと染み入ってくるような良さがあって、読んだ後に、あーいい話だなあって思ったんですよね。
このマンガはそのうちの、『The end of youth』の方でした。
何となく勝手に、『あいの、うた』の方がマンガになっているものとばかり思っていたので、ページ捲ってちょっとびっくりしました。でもそういえばタイトルが原作とは反対になってるなあ、なるほど。
ちなみに原作の感想はこちら。内容等はこっちに割と詳しく書いてます。↓↓↓
あいの、うた * 木原音瀬
以下ネタバレするかもしれない感想です。
夜をわたる月の船 * 木原音瀬
読んだ〜。面白かったけど、しんどかった〜…。
なんかもう、えらい体力使って読んだ気が…。ほとんど徹夜してしまった。朝方やっと寝たんだけど、この小説に影響されて、お得意のえらい切ない壮大な夢を見て、なんかもう昼まで寝てたんですけど、倍しんどい…。私いつも壮大な映画みたいなストーリー仕立ての夢を見るんですよね…まあ夢の事はどうでもいいんですけど。
いやもう〜なんて感想書けばいいんだろうか?凄い色んなことを思いながら夢中で読んだしのめり込んで読んだんだけど、何を書けばいいのか分からない。感想を書けばいいんだろうけども、とにかく読み終わって思ったのは一言、"しんどかったー…寝る。"だったので…もうちょっと何回か読んでから感想書いたほうがいいのかなあとも思いつつ、もうこれあたし何回も読むのしんどいよ。
小さい字の二段組でびっしり文字が詰まっていて凄く嬉しかったんだけど、その分量に見合った、物凄く苦しい話でした。
暴力があるとか、誰かが一方的に痛めつけられるという訳じゃないんですけど、…なんていうんだろうこのしんどさ。
あのー、終わりが見えないというか。行き着くゴールが見えてこないところがとにかくしんどかった。一体どうなればハッピーエンドで、真実はどこにあるのか、というのが、中々その形が見えてはこなくて…何となくね、柴岡さんの抱えているものは、まあ見えるんですよね。だけど、河瀬と一緒に翻弄されるんだよね、柴岡さんの言動に。
でも読んでいる方にしたら、とにかく河瀬に柴岡さんを幸せにして欲しいわけ。もうそここそがたぶん、自分の希望としてはゴールなんだけど、とてもじゃないけど、それが読んでも読んでもその欠片が見えてこない。精神的にも肉体的にも疲弊していく柴岡に釣られるように、こっちも凄く疲れていく。
放り出したい河瀬の気持ちがあまりにリアルで、だけど放り出して欲しくはない、それに最初から最後まで柴岡さんは憐れで、あまりに憐れで、もうどうしたらいいか分からなくて、本当に途方にくれるような気持ちで読んでしまった。とてもじゃないが他所事にして楽しむというような心境にはなれず、どっぷりはまり込んでしまったが為に、本当に疲れました。
でも間違いなく、いい小説だと思う。
人の心の真実を暴き立てるというような、色んな側面があると思う。一言ではなかなか言い表せないような、人の本能みたいな事とか、エゴとか、愛する事とかさ。一人の人間に対する妄執と、その人を愛しくて守りたい生きていて欲しいと思うことの気持ち、その間にどのくらいの差があるのか…そんなに違うことなのかなって思ったりとか…。
以下ネタばれます。
タカトリキングダムキングス * 南野ましろ
そしてこれが マーブルベリービーンズ * 南野ましろ と、キャラメル・ハードボイルド * 南野ましろ と、プリンセス・シールド * 南野ましろ この三冊の集大成みたいな話。
一応話の筋は、藍羽と黒田のカップルが、同居してから一ヶ月にもなるのに、セックスレスだと。藍羽が自分には何が足りないのか、色気が足りないのか、色気はどうやって出すのか、と犬屋の店員の磁有や、弟の朱羽や(プリンセス・シールド)桃生(キャラメル・ハードボイルド)というそれぞれの受キャラたちに聞いて回るという話。なんで自分たちにはエッチがないのか、と相変わらずすっとぼけたキャラのまま一応悩んでいる藍羽が可愛い。一応裸エプロンをしてみたり、お色気ポーズなど取ってみたりするんだけど、さっぱり藍羽は色っぽくならない。しかし磁有や桃生は何をしてもしなくてもエロいので、一体それはどうやるんだと、あれやこれや試行錯誤してみるんだけど、まあ結局黒田が驚くほどにヘタレだったという事で、藍羽がちょっと可哀想じゃないか、という答えでした。
まあそんなふうに、相変わらず考える時に斜めになりすぎて、弟に斜め限界、と言われている藍羽も楽しいんですが、やっぱ冴木と桃生が。藍羽が色気について悩んでいる間も、暇さえあれば朝から晩までエッチをしている。仕事部屋にでかいベッドまで入れて貰っていた、いいのか。冴木はあの桃生をまるでペットか何かのように手なずけていて、桃生もそれでいいと言て、大抵冴木のやりたいようにさせておった。
そんで、『キャラメル〜』で桃生が嫉妬していた、冴木の幼馴染みがいるんだけど、…えーとこの子も他の作品にも出てくるんだけども、この子にまたもや桃生が敏感に反応していて、そんな桃生はやっぱり可愛かったな。
この二人、冴木のが背が小さいんですよね、そこも好き。ちびちゃい人攻っていうのも、私好きで。
そして冴木と黒田の間にどんな実践的な指導が行われたのだろうか、知りたい。
あとおとーたん、しか言わない子供が、なんか凄いおかしかった。
このタカトリのシリーズはもうこれで大体コンプリなのかな、まだあんのかな。
でも桃生の高校時代とかは はちみつ光線大作戦 * 南野ましろ これとかに出てくるし、まだ他にもリンク作あるのかも。
まあ、なんにしろ南野さんは嵌ると楽しい。
またちょびちょび買おうと思います。