DARLING 3 * 扇ゆずは
3巻目は、2巻で出てきた理緒の幼馴染の遥が主人公です。
次は遥が主人公で、二人の男から迫られまくる…というあらすじを知った時からもう、楽しみで楽しみでしょうがなかったこの3巻。
う〜ん〜…年下ガンバレ…!!!
今の時点ではもう結果見えてる気がするんですけど…イヤだ!そんな見えてる結果に行き着きませんように…と年下応援委員会会長の私としては願ってやまない3巻でした。
あとジョーの恋愛の話と、理緒とともちゃんの話が載っていて、どっちも面白かったです。理緒とともちゃんの話がなんだかまたバカバカしいというか…えらい笑っちゃったよ、扇ゆずはさんのこの行ききったくだらない感じって、凄い魅力だと思うんですよね、なんかあっけらかんとしてるじゃないですか。ふりふりのエプロン着せちゃうとか、あわあわにしちゃうとかさ。お尻の描き方ももうなんつうか、えらい気合を感じるんですよね。あらゆるところがあっけらかんとしてて、あけっぴろげで恥ずかしげがない。理緒も突き抜けてるし、ジョーとジョーのクラスメイトも突き抜けている…。色んなところが突き抜けてていいなあと思います。
でも凄いきゅーんとするとこもいっぱいあるんですよ、3巻読んだので2巻読み返したくなって読み返したんだけど、2巻はかなり切ないですね、凄い泣いちゃったよ。
以下ネタバレます。
はつ恋 * 榎田尤利
わ〜面白かった。夢中になってあっという間に読んでしまいました。先生受って言うので凄く楽しみにしてたんだけど、予想外な話だったなあ。
色んなところが凄く好みで…私好みなことがいっぱい書いてあったんですよ。賛成!と思ったり、反対!と思ったりしたんですけど、自分の頭の中にある言葉と理屈と世界観が似ていた。重なる部分が多かった。だから、読んでいるのが凄く楽しかった。何が良かったか、どこに共感してどこに反発したかっていうのを、もういちいち書くのが面倒だと思うくらい…こんだけ全部文字にして残そうとするあたしが面倒だと思うくらい、とにかくたくさんあって、読んでる最中にいっぱいいっぱい色んなことを思いました。
それから高校生の久我山が先生に恋をして叶えられないというストーリーが凄く好きで…これも私好みだった。とにかく色んな所が凄く私の好きそうな感じだったんです、苦しい気持ちになったり切ない気持ちになったり、理不尽だと思ったり、悔しいと思ったり色々したんですけど、そういう気持ち全部ひっくるめて、もうほんと面白かった。
以下ネタばれます。
世界が終わる7日前 * 中村かなこ
漸く読みました、凄いよかった〜。
中村かなこさんは前読んだ奴があんまり…だったのでこれもずーっと迷ってたんですけどやっぱずっと気になっていた、だって"世界が終わる7日前"って。このフレーズ、どんな話なのかと思うじゃないですか。
…よかったなあ…。絵本のような話たちだった。切なくって暖かい絵本のような結末。
こういう話を他ではあまり見ない気がするから、凄く新鮮だったなあ。それこそ昔読んでいた少女マンガでは、不思議で切ないあったかピュアストーリー…なんてあおりがついた話をよく読んだ気がするけど、BLしか読まない今のあたしがこういう話に接することはないし、それに、たぶんちょっと間違ったら…どっかずれたら凄くつまんないと感じるような気がする。昔より冷めちゃってるから。だけど、ここに描かれてあるお話は全部、なんだかとても良かったです…。なんて言ったらいいかわかんないんだけど…。
例えば絵本とか昔話とかって、主人公が凄く辛い目にあったり、悲しい目にあったりしていても、最後に凄く根拠のない都合のいい魔法のような出来事が起こって、主人公を悲しい現実から救ってくれて、物凄く強引なハッピーエンドを迎えますよね。そこでいきなり神様が現れて…とか、祈り続けていた願いが届いて…とか、凄いご都合主義なの。でも、そこに根拠がなくても、辻褄が合わなくても、都合がよくてリアリティが皆無でも、それでもそれが暖かくて切ない胸を締め付けるような絵本だったら、そこに不満は抱かないじゃないですか、良かった、主人公が幸せになってくれて。良かった、好きな人と一緒になれて。…と、都合のいい魔法をありがたく思える。少なくとも私は。
それですこの場合。
理屈もリアリティもいらない、ここに出てくるこの子達が、好きな人と一緒に居られてよかった、と、見えざる都合のいい神様や魔法の力や、そんなものに感謝したくなる。納得したくなる。
そんなような、暖かくて優しくて切なくって、きゅんと胸を小さく刺されるような短編集でした。
以下ネタばれます。
鉢植えの住人 * 古街キッカ
面白かったです、切なかった〜…。
古街キッカさん…私これまで好きだと思ったのって『オルタナ』だけだったんですね。オルタナが良かったことが意外で…というのも、『さくらにあいたら』があんまり好きじゃなくて、その後に出した2Kとか6Kとかなんかそういうタイトルの奴…あれも凄く嫌いだったからなんです。嫌いっていう言い方もどうなんだと我ながら思うんですが、…面白くないっていうよりは、嫌いって言う方が合っている感じだったんです、なんだか凄くその時は。それでもう、手元にないです、すぐにさようならしたので。
そのくらいだったので、『オルタナ』もずーっと長い事買わなくって、でも読む機会が巡ってきまして読んでみたら、面白かった。切なかったんです、凄く繊細で。
それで今回これ買ってみて、やっぱり凄く面白かった。
なので、もしかして今、あたしが前キライって言って手放した二冊を読んだら、面白いって思えるかもしれないって思ったんですよね。この本の中に入っている同時収録の雰囲気が、二冊目のあたしが嫌い!って思った短編集に通じるような気がして…確かこんな空気感の短編集で、たいして作風変わっている訳でもないと思うんですよね。という事はきっと、変わったのは私の方なんだ。
今、手放した二冊をまた読んでみたいです。前とは違ったところで読めるかもしれない。
こういう事があるから、どんなにつまんないと思ったものでもギリギリまで手放さない方がいいですよね、自分がどんな風に変わるか分からないし…。
ところでこの本ですが、表題作が切なくて切なくて…。他の話も凄くよかったんですけど。
関係ないですが、キジムナーと言えば私の中では高階良子。まだ小学生か中学生の頃だったと思うけど、キジムナーという言葉を知ったのが高階良子さんのマンガだったからで、私ほんっとうに高階良子は高校生くらいまで…BLに完全に鞍替えするまでは、高階良子コンプリしてまして、とにかくもう、大好きで大好きで大好きで、小中高と延々延々延々読み続けた漫画家さんだったんですね。この人のマンガで、大陸とか伝説とか文明とかのシリーズがありまして、その中に沖縄のキジムナーの話も入っていたんですよ。確か『夢果てる島』ってタイトルだったと思う。それが本当に切なくってですね、この鉢植えの住人のように、青年の姿かたちをした孤独なキジムナーが、孤独な人間の女性に恋をして、彼女の為に良かれと思ってやる事が、やっぱりその…そこに描かれているキジムナーっていう精霊は基本的には幼稚で精神的に未熟で子供の心を持っていて、彼らにはしがらみが分からないんですよね。生きているという事、辛い現実にあったとしても、今生きている事の幸せというか…今生きている事への人間の執着というか、そういうものを理解できない。好きな人の為に良かれと思って、彼女を楽園に連れ去ろうとするんだけど、でも彼女にとって本当の楽園は、キジムナーが連れて行こうとしている苦しみのない世界ではないという…結局彼女は自分の住むべき場所へ戻り、キジムナーは孤独なまま。
…まあそういう話でですね、これがもう切なくて切なくて、えらい泣けたんですよね子供心に。
キジムナーという言葉を聞くたびに、十代通して読み続けたこのマンガのキジムナーを思い出して、なんだか切なくなってしまう長い年月でした。
そしてここへ来てBLで切ないキジムナーに出会ってしまった…。
この話はファンタジーですが、ファンタジーの結末には二種類あって、夢のまま終わるファンタジーと、現実に戻っていくファンタジー。ファンタジーが現実へ戻って行くと必ず辛い結末が待っているんですよ、何故なら現実がやってくれば、夢は必ず終わるから…。夢は夢のまま、夢の世界で幸せに…ということができるのが物語の良いところでもありますが、ファンタジーを描くことで、現実をよりリアルに描けてしまう、というのも物語にしか出来ない事ですよね。
人間とキジムナーが出会って何事かが起こっても、結局戻っていくのはそれぞれの世界。
そうなるしかないんだろう事が分かっていても、どうにか夢のまま行かないものだろうかと…なんとも言えず切なかったです。
もうあたし刷りこみだと思うんですけど、その高階良子さんのキジムナーのせいで、キジムナーと聞いただけで胸が湿っていく感じがするんです、なんか切なくてしょうがない。
なので、この表題作を読んでいる最中も、もうなんかもう、切なくて切なくて切なくて…読み終わった後ももやもやもやもや…なかなか寝付かれませんでした。
表題作切ない、切なすぎてもやもやする → 高階良子さんのキジムナー切なかった、どんなんだったかなあ… → キジムナー出てきたときはそういや木の陰から黒いお化けみたいなんで不気味で怖かった。 → 高階良子さんは怖いマンガが多かった…。 → なんか怖い…カーテンの隙間からなんか出て来そう。 → 怖い怖い怖い → 寝れねーっっっ
…っていう理由で眠れなかったんですけど…。もうあまりに怖くて心臓バクバク言い始めて、どんだけ隣の人起こそうと思ったか…。よもや『鉢植えの住人』読んで怖くなって眠れなくなるなんて予想だにしなかった。
あ〜…関係ない事だらだら書いてしまった…すみません。
以下ネタばれます。
兎オトコ虎オトコ1 * 本間アキラ
え〜!面白かった、すっごく予想外でした。近所のショボ本屋に何故かこれずーっと置いてあったんですよね。出た時から気にはなっていたけど、なんか何となくこの、兎とか虎とか、動物系タイトルでハズレが多いのと、この本間アキラさんというのを私、他の人と勘違いしていたのもあって、たぶんあんまり好きなタイプじゃないだろうと思ってたんだけど、行く度行く度あんまりにもずーっと誰にも買われず置いてあるのでもう、気になって気になって気になって…。この間何かマンガ読みたいけど何かないかなあ…と物色している時に、これはここで行っとくべきだろう、と踏んで買ってみた。全然期待していなかった。…けど、すっごい面白かったです、続きが気になる…!
可愛い兎みたいな医者と背中に虎をしょったヤクザの話で、とにかくコミカルで面白かったです。絵も綺麗だし可愛くって、正直受の医者が可愛すぎたのであんまりタイプではなくて、だからずーっと買うのを躊躇していたってのもあったんだけど、読んでみるとそういうタイプとかキャラとか置いといてとにかく、ストーリーが面白くて、表情とか魅せ方がうまいっていうか…すっごくしっかりどっしり読みやすい。…どうしてこの方をあたしはこれまで読んだ事がなかったんだろう??あたしずーっと違う人と勘違いしてたんだよな、前読んだ事あると思ってた。そんでその時あんま面白くなかったって、ずーっと思ってたけどそれ全然違った、あたしこの人初読みです。あ〜…損してたなあこれまで…。
以下ネタばれます。
君を抱いて昼夜に恋す * 久我有加
大正時代の刺青師とヤクザの話でした。物凄く苦しいとか切ないとか悲しいとか言う話ではなかったんですが、とても読みやすくて色っぽく、麻々原さんの挿絵も綺麗で、楽しんで読めたのでよかったです。
私関西弁小説が特に好きなわけじゃないんですが、久我有加さんに限り、関西弁凄く好きです。久我有加さんの小説の関西弁には、色気があるよね。この本はわざと昔風の言葉にしているらしいんですが、そうでなくてもいつもどの本も、久我有加さんの小説の関西弁は特別にいいと感じる。何がいいかと言うと…まずね、受の言葉がいいです。色っぽくて可愛い。特にエッチの時の受の関西弁が…エロいのよ。あと一人称の心理描写時もエロ可愛い。
今回のって、また時代物だったりとか刺青師だったりとか博打打だったりとか…ぱっと見面倒そうで割と避けがちな設定だったんだけど…久我有加さんだったし、年上の彫師受なんてなかなかそそるじゃないですか。ちょっとワクワクする気持ちもあり、面倒だなあという気持ちもあり…な感じで読み始めたんですが、やっぱり久我有加さんっていつもそうだけどほんと読みやすくって、設定はまあ時代物なんですけども、あんまりその背景なんかを色々探って暗くなるようなタイプでもなかったし、割と恋心重視で読めるんですよね。それ物足りないと思う人もひょっとしているかもしれないと思うんですが、私はこの、どんな設定でも恋愛部分に入れ込んで読めるところが好きですよ、やっぱ恋愛小説として読みたい。
今回のもまあ、恋愛小説と言えると思います。色々設定や背景はあるんですが、結局描かれてあるところは恋情だと思うので。
以下ネタバレます。
そこに座るな * 麻生海
面白かったです。麻生さんはやっぱり、感情の曖昧さを、やわらか〜く描かれるので、そういうとこがやっぱ味だなあと思います。時にそういうところがもどかしくもあるんですが、でもそのもどかしさを我慢しながら読んでいけば、いずれは必ずはっきりしないところにキュンと来る答えをくれるというか…。
前の『家賃半分の居場所です。』もそうだったんだけど、ゆったりじれじれキュンキュンです。答えが出るまでに掛かる時間と道程のゆったりじれじれ…にちょっと耐える必要があると思う。が、そのゆったりじれじれ、にも麻生さんの柔らかい絵や雰囲気で、ちゃんと楽しみどころがあるし…なんと言ったらいいか、その、前の記事に自分で書いてるのを引用すると、
"色んなことが行き切ってない感じなんですね、ストーリーも恋人たちの関係性も、出てくる人の感情も、その表現の仕方も。でも、読んでると、この行き切ってない感じが、人の心のあやふやさを逆にうまく表しているんじゃないかって気もして、その辺が不思議と魅力でもあるんじゃないかと思えました。恋愛モノは白黒はっきりついていると分かりやすいし感動もしやすいしのめり込みやすいけども、実際にはなかなか気持ちって言うのはグレーだったりもして、その辺を表現するのは難しいと思う。この本の中に入っているお話に出てくる人は、グレーの気持ちをぐずぐず抱えているような気がします。"
と、これは前の本の感想に書いた事なんだけど、我ながらいい事書いてんなあ、ほんと今回もこう思いました。やっぱそれが麻生さんの魅力なんだと思うなあ。
受の人の臆病さや繊細さに、とにかく凄く胸を打たれる。だけど、じれったくもある。そういう一人の人間に色んな感情があって、色んな側面が見えるところが、やっぱ生きている感を出しているんだと思います。
以下ネタばれます。
恋する暴君/GUSH09年11月号
今月の暴君。楽しかった…!こう、久々に勢ぞろいの醍醐味というか…。こんだけオールキャスト揃ったんだからそりゃもうそう来て欲しいですよね、わいわいやってるのも凄く楽しかった。
あと今回はなんか小冊子が付録でついてました。表紙が高永さんで、変態系っていうテーマに沿ったエロ絵で、ステキだった。普段高永さんはこういうマンガはあんま描かれないと思うから、この絵は貴重だと思うな。見てすぐ高永さんだ!って思ったけど、あれちょっと待ってほんとに高永さんかな。って、奥付確かめたくらい、普段はあんまり見ない絵だった。でも凄い綺麗です、高永さんは何描いても綺麗で上手いですよねー。
ちなみに表紙だけで、マンガはナシです。
以下暴君の内容ネタバレるかもです。連載中作品なので、気をつけてください。
人はなぜ働かなければならないのか * 山田ユギ
すっっっごい良かった〜!!面白かったです!短編集なんだけど、全部凄く切なかった。笑えて楽しかったし、人を好きになる気持ちは切なくて、凄くきゅんとしました、泣いた…!
あそうか、そういえばほとんど全部サラリーマンの話なんですね。オフィスラブ作品集って書いてある。
表題作も途中の短編も、最後の遠距離の話も、全部凄くよかったなあ〜。表題作は凄く楽しくてえらいニヤニヤ笑いながら読んで、途中の短編と最後の遠距離恋愛には泣かされた。ずーっと内臓を小さくプスっプスっと刺されているような感じで、何度も何度もきゅんとして、キュン痛激しかったです。
あ〜…面白かった!!
そしてあとがき…。
なんで忘れちゃったんすかユギさん!!手痛い、手痛いミスですよそれは…!!
まりおさん〜。
以下ネタばれます。
ラブストーリー * 西田東
どうしよう、既に眠い…小杉に笑って体力を使い果たした気がします。寝ぼけて変な事書かないようにしないと。
西田さん新刊です。表紙見て、現代の話じゃないんだ!ってびっくりしたんですが、読んでみると現代だろうと中世だろうと、やっぱり関係なかったです、面白かった。やっぱり泣いた。
以下ネタばれます。