Archives by Month:
Archives by Category:
Entry: main  << >>

囀る鳥は羽ばたかない 2 * ヨネダコウ

四月にヨネダコウさんの待ちに待った嬉しすぎるコミックスが出ると知り、これはその前に囀る〜2巻の感想を書いておかねばとなりました。

一巻の感想はこちら→
囀る鳥は羽ばたかない 1 * ヨネダコウ

これもこの間やっと読んだのですが、面白かったですね〜。
このできあがった世界にゾクゾクしますね、男たち全員一見無表情に見えるんだけど、物言わない顔の皺一個に全部意味があるような気がして、含みだらけで物凄い雰囲気が重い。
けどこれもいつも言ってるけど、ヨネダコウさんって、意味のない沈黙がないんですよね。その沈黙の一個一個にちゃんと意味があって、その伝えたい意志みたいのが、はっきり言葉にできないまでも何となく伝わっていて、それがこっちが受け取る作品の雰囲気になってますよね。
やっぱりすごい演出家というか、うまいな〜って今更ながら唸ります。
これ特に言葉の少ないマンガだし、主人公たちが強烈なトラウマ持ちで、自分の本音を言わないというより、本音に気付いてないようなところがあって…気付いていたとしても絶対にそれを認めようとしない、みたいな。
なので、主人公が言わない気持ちを読み取らないといけない…逆に言えば表現しないとこっちには伝わらない、みたいな難しさがあるような気がするんだけど、ところがよく表現されてありますよねえ。でも言い過ぎてなくて、やっぱり想像の余地がある。

こういうのってセンスなのかなあ。ヨネダコウさん凄いよな〜。
はー…四月の新刊……小野田出口!!!!


では以下内容についてネタバレます。

 



百目鬼に感情が見えてきましたね?
一巻の時点では恋愛までかなり遠いなあという感じだったんだけども、ちょっと恋愛の雰囲気が漂ってきたような気がして嬉しい。
一巻の百目鬼って仏像みたいで、言葉だけが淡々と矢代への慕わしさみたいなのを語ってたけども、頑なに見ない感じない分からない……を貫いてた感じするんですよね。けど、二巻の百目鬼には、人間らしい表情が幾つも見えた。
矢代に惚れちゃったんだな…本当に。一巻で矢代が見せた優しさが最後の一押しだったんだな…。
だから百目鬼は影山の存在にすぐ気付きましたよね。矢代のことばっかり見てるから、惚れてるから、矢代の顔つきや声が影山の前で変わる、その微妙な変化に気付いたんだと思う。
そんで嫉妬みたいなもん感じ始めたら、体もちょっと変化しかけてる…よね?

影山のこと言うと矢代が怒るんだけど、この怒った矢代にも人間らしさが見えたなあ。
たぶん、矢代が百目鬼に影山のこと突かれたくないのは、影山が矢代の一番のネックだからだろうなあ。唯一恋した相手だなんて、矢代にとっては一番の弱みだ。けど、弱みでもあるけど、ある意味では最も無くしたくない、大事な部分でもあるんだと思う。影山という人間…というより、影山を好きだった時の気持ちが。
矢代が一巻で、今三角さんのものになったらもう自分は二度と戻れない。
って言うでしょ。
矢代はまだ、戻りたい自分を抱えている。
けど、もう戻れないとあきらめてもいる。
戻りたいというくらいには、自分は”這い上がれないところに落ちている”と感じている。
けど、影山を好きだった時の自分や、影山という存在は、矢代の戻れない部分、もしかして戻りたいと思っている部分なんじゃないだろうか。
捨てたい反面、絶対になくしたくないとどこかで思っているんじゃないだろうか。
感傷を抱えると、弱くなる。弱くてはあの世界で生きていけない。弱くては、自分を抱えていけない。
感傷を捨てたい自分と、大事にしていたい自分が、常に矢代の中でせめぎ合っている気がする。
きっと、そういう年月を、一人で過ごしてきた気がする。

そこへ百目鬼が現れたんじゃないだろうか。
百目鬼は、矢代を揺らすんじゃないだろうか。

矢代はもうきっと、恋なんてしたくないよね。他人を想って、その人を欲しいと思ったり、その人を守りたいと思ったりすると、きっと自分が嫌になってしまうよ。こんな誰彼構わず痛めつけられたいような、自分を大事にできない矢代では。
なのに、百目鬼に惹かれてる。応えてくれないくらいがちょうどいいってどこかで思ってるよね、自分が惹かれても相手は自分を抱けない、石のように頑なで心も身体も動かない、だからちょうどいいって。
だって、もしも百目鬼に触れられたら、矢代は完全に恋に落ちるような気がする。
いや、もう落ちてるような気がするけど…。
矢代、百目鬼にキスしたよね、たぶん。キスなんて、こっそりキスするなんて…なんて純情なことするの…。

惚れた相手と一度もやったことがない、どうでもいい奴としかやれないって三角に言われてたけど、ほんとこれが矢代の真ん中にあるものだと思う。百目鬼を近くにいさせ、触るのに、触られはしないことに安堵している。
怖いんじゃないだろうか。好きな奴とやることが。
そのとき自分が、「戻りたい」と思うことが。
今ある以上のものを望むことが。
手に入れられないことを思い知ってきた人生だから尚更、百目鬼を求める状態を恐れている気がする。そして、セックス依存症の自分を否定してしまうことを恐れている。自分の人生を否定することを恐れている、そんなような気がします。
矢代っていつも、心の底の本心が目の前に現れること自体を、凄く嫌がるように思う。
自分を嫌いだ、自分は不幸だ、と思ってしまいたくなくて、いつもへらへらしてるように見える。
…悲しい。
三角の一言は矢代を暴いたんじゃないか。そしてそれが結局、百目鬼に火をつけたことになったんじゃないかと思う。

百目鬼はそんな風に健気に自分と戦っている矢代を、弱くしてしまうんじゃないかな…。
今のところは。

百目鬼が矢代のことを一途だって言うよね。優しくて強くて綺麗だって。
これって矢代の本質じゃない?
淫乱といい加減な言動でごまかされてるけど、矢代は本当に強いよ。勿論弱いところもあって、強さも弱さも表裏一体だと思うけど、でも心が強くなくてこんな風には生きられないと思う。だってどんな目にあっても生きてるもん、強かに。どんな風に扱われて他人にどんな目を向けられても、他人に心を配れる。よく見ている。優しいと強いは似てるよね。強くないと本当の意味で優しくあれない。優しいということは強いってことだよね。
そして矢代は綺麗だよ。見た目だけじゃなくて、そういう凛としたとこが綺麗なんだよ。
百目鬼には見えてるんだと思う。だから惚れたんだ…。
だからさ、そんな矢代に、ヤクザとか向かないよ…。私そう思うよ…。

そんで矢代が久我にやきもちやくのが可愛い。
影山を取っていった男だもんね、久我は。矢代にないものがある男なんだろうな、きっと。実際は知らないけど、矢代にはそう見えてるんじゃないか。久我が眩しく見えてるんじゃないか。
その久我と百目鬼が一緒にいるから、たまんなくなって飲み屋にきたんだと思ったんだけど私は。

映画館のシーン、よかったなあ。
切なさともどかしさと、まるで恋人同士みたいな甘い雰囲気が混在してたよ。
反応しそうで矢代を拒否する百目鬼と、拒否られて悲しそうな矢代。完全に気持ちが擦れ違ってて、お互いにお互いの本心全然分かってないからもどかしくって、このまま擦れ違ったらどうしようって思ってたら思ってたら!
矢代が戻ってきてもう、きゅーーーーーんっっっってなったよね…!
百目鬼の素直さだけが本当に救い。堅物だけど、ひねくれてはないもんな。「ここにいてください」なんて言っちゃえるんだもん。嬉しそうな矢代も可愛い。
こんなに可愛かったのに…。

やっぱ一筋縄じゃいかないよね…。
はー…これからどうなるんだろうね。
私の希望としては、矢代に足を洗ってほしい。だって未来がないもんそんなところにいたんじゃ。
でも三角は矢代を離さない気がするし。ほんと可愛がってるもんなあ…。
百目鬼とセックスして、痛めつけられないセックスでも感じるようになってほしい。そういうのって絶対ダメなのかな、性癖ってそうそう変わらないのかな…。自分の好きな人とセックスしたことないんだから、矢代はその辺まだ未知数だと思うんだけど。

そして、その三角さんと出会ったころの矢代の過去話ですが。
なんか…キツイ…。
ボロ雑巾みたいにボロボロじゃん矢代。どんな人にも心がある。矢代は心をどこに隠して成長したのだろう。痛いつらい悲しいと思う心を、表に出していたのでは、きっと強くは生きられなかっただろう。出さないようにしまい込んで、自分でもどこに隠したか分からなくなっているんじゃないだろうか。
影山のことを考えている時、影山を救おうと思うとき、その場所が見つかっていたような気がする。
影山の存在は、矢代にとって、自分を見つける大事なキーだったんじゃないだろうか。

平田のとこの男で矢代の面倒見てたのがいたでしょ。なんかあの人が不憫だったなあ。顔も見えないし、セリフも少なかったけど、あの人が矢代に情を覚えていたのがよく分かる。惚れてたと思うんだよな…。なのに、矢代の方にはあの男に気持ちがないだけに、とても悲しかった。
矢代があの人の好意に吐き気がしたのは、矢代が彼を好きじゃなかったからだ。それは特別なことじゃないよね…。
結局、相手が自分を好きじゃなければ、蔑んでいれば、自分は人間同士の情から切り離されている。心は痛まない。暴力も、心のないセックスも心は痛まない。
けど、心ってのは本来痛むものだよね。自分に心があると気づくと、痛みを知るよね。
矢代が自分をどうやって守って来たかがよく見えてしまって、とても悲しい。
カップラーメン食べてるところ、なんかもうたまんなかったな、侘しくて。

竜崎とはその頃から因縁があったんですね…。
竜崎も結局、矢代のこと凄く気にかけてたし、ボロボロに扱われる矢代のことを放っておけない感じがしてて…たぶん恋愛の意味じゃないにしても、矢代を側においておきたかった気がする。
三角さんに連れていかれて、喪失感があったんじゃないかな…。ショック受けてたもんね。

平田ってのは信用していいのかね。
なんかあの人私、怖いんだけど。嫌いだし。

そして七原、意外にほんとに矢代のこと慕ってるんだね。一巻読み返したらいつも覗いてたわ、思い出した。さすが覗き続けているだけある、矢代のことをよく見てるね。欲求不満に気付いたり。

…誰も死ななきゃいいなあ…。
ハッピーエンドがいいなあ。
怖い。怖いけど、なんとなく信じている、ヨネダコウ先生を!

はー…そんなわけでこの話は先が怖いですけども、次の新刊は恋愛に特化したキュンラブストーリー、例のアレらしいですよ〜!!
これ!!
↓↓↓
それでも、やさしい恋をする (H&C Comics/CRAFTシリーズ)
4月1日だって!
やっとですよ〜!

同人誌の方の私の感想はこのへん
↓↓↓
after 9,10 hours * ヨネダコウ
色のある世界 * ヨネダコウ

コミックスには書き下ろしもたくさんあるらしいですよ。
あ〜楽しみだ〜楽しみだ〜。



 

拍手する
Catergory in [comics : や]ヨネダコウ comments(2) -
Comment
ヨルコ says : at 2014/03/19 16:36
わ〜magakiさん!お久しぶりです、コメントありがとうございます〜!

確かに本当に"巧い"ですよね、私もヨネダコウさんを読むときはいつも感心しきりです。
言葉が多いマンガじゃないのに、雰囲気とか少ない言葉を、ストーリーや展開や見せ方がきっちり補ってますよね。
たぶんヨネダコウさんじゃなければ、こんな風に描けないですよね、凄い凄いと毎回思います。
もう一回読み返してみてください〜!
百目鬼も矢代も確実に変わってきてますし!

それと小野田出口、めちゃくちゃ嬉しいですね〜!
この一冊を待ちわびてました。夢は現実になるのですね…。
あともう少し、無事に生きましょうね!


magaki says : at 2014/03/18 17:17
こんにちは。
4/1小野田出口が待ち遠しいーーー!とウキウキしながら久しぶりにこちらのサイトを訪問したら、ヨルコさんもウキウキしていて嬉しかったです^ ^

で、囀る〜の方ですが。私は一読した時は「上手いっ、上手すぎる〜」と、とにかく表現の上手さにばかり感心してしまいあまり萌えられず…。ヨルコさんの感想読んでもう一度萌え視点で読み返したい!と思いました。
Leave a Reply








Submit
with Ajax Amazon