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今宵おまえと 最終章 * 木下けい子

終わりましたね〜。
木下さんのこういう、恋愛感情の問題だけで2巻とか3巻とか続く話って、途中で何が問題だったか分からなくなるというか…問題点が繊細な上に描き方も繊細なので、途中で見失っちゃうことが多いんですよね、例えばキスブルーしかり、幾千の夜しかり。
けど、この話は珍しく最初から最後まで、一貫して問題点が見えてたというか…問題点って言うのは、主人公達の関係っていうか、今いる気持ちの場所ってことですけども、それが見えやすかった気がします。
最後まで面白かったし、最後まで二人の関係にドキドキできたし、切なかったり可愛かったりして、とてもよかった。


以下簡単にネタバレ感想です。




友人だった相手を恋人として、恋愛対象として受け入れられるかどうかっていう、ヤスの気持ちの変化の話ですが、ほんと全然首をひねる瞬間もなく、気がついたらヤスの中で結果が出てた。気がついたら二人の喧嘩が友人同士ってより恋人同士の痴話喧嘩みたいになってた。
って事は、否応なく徐々にいつのまにか納得させられたってことですよね、疑問なく読めたというのはそういう事なんだろうなと。

ヤスが、心のない相手とならセックスできてしまったことについて、自分がどういうことをしたのかっていうのを改めて考えたりとか、自分がこれまで陸朗に何をしてきたのかってことを強く自覚したりとか、これまでいつもマイペースで、あんまり人の立場に立って物を考えなかったヤスが徐々に変化していく。
で、陸朗も陸朗で、自分の気持ちを押し付けることの横暴さっていうか、身勝手さ…についてちょっと考えたりして、たった一冊なんだけど、一冊分の中に凄く紆余曲折があったなあ。

ヤスの心の中が、陸朗と必死に向き合おうとしているその時に、陸朗の心はいつまでも嫉妬に囚われていたりして、その辺のかみ合わなさ加減とか、なんかリアルだった。
同じ"好き"って気持ちでも、それぞれ温度が違って、スタートラインが違って、感じる性格も全然違ってさ、陸朗が胸を痛めて切なく苦しく思い悩んできた年月、ヤスはのほほほほほんとしていたわけで…勿論そりゃあ、ヤスとは質量が全然違う。
恋愛に踏み出したばかりのヤスと、恋愛し疲れてもうそろそろ膝を降りたい陸朗…。
重ならなくてすれ違ってしまうのが凄くもどかしかった。せっかく重なりそうなのに、なかなか重ならなくて。
でも陸朗の気持ちのが分かりすぎるほど分かるしさ…。
あんだけ長い間苦しい片思いしてたのに、ひょっこり告白された男とセックスされちゃ溜まったもんじゃないよ、好きなら仕方がないけど好きでもないのに流されて、なんて。ヤスに腹が立つけど、腹を立てる資格があるのかって言ったらやっぱりないんだもんな。自分が片思いしてるだけの相手だし。
陸朗がムッとした顔をする度に、なんか凄くぐっときたなあ、その気持ちリアルだなって思って。
しかも怒った陸朗カッコいいんだよ!!

漸くヤスとエッチできた後の陸朗もよかったなあ、本当に幸せそうだった。
けど、ヤスの気持ちが分からないうちは不安だし、あまりに片思いが長すぎて、手に入った幸せを信じられないし…簡単に信じるわけに行かないよね、思いが長い分、失ったあとのダメージ考えると物凄く怖いもんね。
ヤスが自分とやったことの理由に、自分を好きだから、気持ちに答えてくれたから…ってすぐに考えられないっていうあたりが、陸朗の悲しいとこだなと思った。片思い長すぎた弊害だよー…。

陸朗がかわいそうだかわいそうだと思ってずっと読んでるんだけど、最後の方はヤスもかわいそうなんだよね、気持ちを全然信じてもらえず伝わらなくて。
好きって言ったのに信じない…っていうモノローグのとこでは泣いてしまった…。

地味な話なんですが、恋愛の切なさが、ちゃんと詰まってたと思う。
物凄いきゅんきゅんきたし、もどかしかったし、面白かったです。
友人同士から恋人になったけど、でもまだ友人同士っていう気配が二人から消えてないっていうか、やっぱり親友って顔をお互いにしてる気がして、それもよかった。

とても満足な読後感でした。





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Catergory in [comics : か]木下けい子 comments(4) -
Comment
ヨルコ says : at 2013/06/17 23:01
わ〜!magakiさんこんばんは!コメントありがとうございます!

問題を見失う感じ、分かってもらえます?なんかそういう感じありますよね、木下さんの長編。
でもこれは、最終巻とってもよかった!
陸朗が分かりやすいというか、感情を表に出す人だったからかもしれないですね〜。


magaki says : at 2013/06/14 10:09
こんにちは^ ^
ヨルコさんの感想がとっても的を得ていて思わずコメントしちゃいます。私は二巻で問題を見失いかけていたので最終巻どうなんだろう、もうどうでもよくなっちゃうかも、と思っていたのですが、読んだらとーーっても良かったです!その理由はやはり陸朗の不機嫌顔かと。男らしさを感じる苛立ちの表情にグッときました。
ヨルコ says : at 2013/06/06 22:40
須臾さんこんばんはー!

陸朗カッコよかったですよね〜。
苦しい顔も切ない顔も、遠くを見つめる眼差しも素敵だったし、正直な言動も、真摯な気持ちが伝わって凄くよかったです。

ヤスみたいな自分ペースの天然な奴ってイラっとするけど、これ3冊読んだら、陸朗の恋した相手として、ヤスも認めてやらねば…みたいな気持ちになれました。

とってもよかったです〜。
須臾 says : at 2013/06/06 00:16
こんばんはー!今宵おまえと、良かったですよねー!私もリクローがムッとして睨む顔かっこいいなと思ったので激しく同意です!木下さんが描くこういう表情珍しくないですか?書き下ろしでも同じ顔があって、あーリクロー可愛いなと思いました。
ヤスの男前っぷりも良かったです。
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