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喧々GOGO! * 大和名瀬

いつも滅茶苦茶楽しみで楽しみで実際読んでみると期待を裏切らず楽しくて楽しくて仕方がない名瀬さんの新刊ですが、やっぱり、やっぱり楽しかったー!!!
短編集だったので予想外だったんですが、表題作も同時収録のちょっと古い短編もどれも好きでした、面白かった。
んで私が一番好きだったのは一番最後に入ってた短編、『お帰りはこちら』です!これ、すーっごくよかったですよ、ちょっと昔の作品なので絵は古いんだけど、凄いいい漫画だった。珍しく受がずるかったりとか…って話は後で書くとして。

勿論表題作も面白かった!
可愛い子にちょっとおバカな攻っていう、こういう関係性はもう名瀬さん真骨頂ですね〜。
私、こういう受絶対苦手なはずなのに、名瀬さんの受は本当に可愛いと思うんですよ、もう受とか何とかじゃなくて人間的に本当に可愛い。あと絵が可愛い。愛嬌全開ですよね、あ〜可愛い。
楽しいしね。本当に明るい気持ちにさせてくれるよなあ、名瀬さんはまさに癒し。

以下ネタばれます。




表題作は親同士の再婚で兄弟になってしまった同級生同士のお話でした。
受の子は真面目眼鏡で融通はきかないんだけど、母親が女手一つで育てた真っ直ぐな凄くいい子。ちょっと意地っ張りなところはあるけども、初心でひねてなくて健気で可愛い。
で攻の子は金持ちの親父の男手一つで育てられた、勉強はできなくてモノをあんまり知らないけど、これもやっぱり優しいいい子。金に困ったことがないっていうのが滲み出ている能天気。でもカッコイイです。
チビ、バカ、と小学生のようにお互い罵り合って喧嘩ばっかりしているという仲なんですけども、まあ二人ともいい子なので、仲良く喧嘩しているうちにお互いの事大好きになっちゃうのですな。なんかもう、かわいい〜〜〜〜ぃぃんですよ〜。
受の子が真っ赤な顔してエロ本恥ずかしがったり、オナニー何回やってる?みたいな話に、自分の回数おかしい?って聞いたりとか、なんなのこの子ほんっとに初心い、ほんっとに可愛い!
温泉一緒に入るくだりも可愛かったなあ、体操座りしてる姿とか。

だからって攻めの子は手が早すぎると思うのですが。エロ本ですらあんなに恥ずかしそうにしてた受けの子に対して、あんた早すぎんじゃないの幾らなんでも。
しかしまあ、可愛かったしきゅんっときて面白かったです!

で、私が一番好きだったのは一番最後に入っていた『お帰りはこちら』っていう話です。
これ面白かったなあ。
大樹は東京の大学を卒業して、就職するためにこれまでほとんど省みなかった田舎に戻ってきた。田舎では優秀だった大樹は、東京に行った自分に期待していたが、結局就職が上手く決まらずに、地元のツテを頼るしかなく、仕方なくの帰郷だった。
そんな大樹を待っていたのは年下の幼馴染、哲。幼い頃から大樹に懐いていて可愛いかった哲は、久しぶりに会ってみるととんでもなく目つきの悪いヤンキーになってしまっていた。昔の面影がなくなってしまった哲だけど、大樹の事は相変わらず慕っているのか、口も態度も悪いけど、何かとくっついてくる。そんな哲に、大樹はふらふらしている自分の心を見透かされてしまい…。

という話でした。
まず大樹の、東京から逃げ帰ってきたみたいでかっこ悪い自分にもやもやしている感じ…っていうのが、こういう主人公名瀬さんではそんな見たことない気がしたんですよね。なんつうかな、ちょっとやる事がずるかったり、冷たかったり、カッコつけていたりするんですね、人間が小さい…特別ではなく、ありきたりに小さいんです。
で、こういう大樹にバシバシ言葉を投げつけてくるのが哲。この哲っていう子がもう、最高に最高でした。
まず最初に出てきたときのヤンキーっぷりがもう、可笑しくて…。絵に描いたように言葉が悪くて、大樹にめっちゃ突っかかるし、「何見てんだよっああ!?」って凄んだ顔が、あまりにあまりなんでおっかしくてさあ、そんな凄むところでも何でもないのに取ってつけたみたいに啖呵切ってさ、しかも大樹全然こたえてないんだよね、全然平気そう。も〜…おかしかった、このあたり。
その啖呵切った顔と、幼い頃大ちゃん大ちゃんって大樹に懐いてたときの可愛らしさのギャップが凄くて、あのヤンキー顔見た後だからか、余計になんか、幼い頃のあのいじらしさにキュンっと来ちゃうんですよ。この子、大ちゃんの事すっごく好きだったんだろうなあって思って。あんなに好きだったのに、東京に行ったまま連絡くれなくて、帰っても来ない大樹に拗ねて、そんでこんなになっちゃったんじゃないのかなって思うと、ヤンキーやってる大樹が切なくて。
メール出しても返事もくれない、会いに来てもくれない。そんな大樹を四年間、待ち続けたんじゃないかなあ…。どんだけ寂しかっただろうって思うと、とんでもなく切ないよね。

大樹は素直に、東京が楽しくて田舎の事を忘れたって言ってるんです。綺麗ごとを言わないの。楽しくて、充実してて、田舎の事なんか頭の中からいつのまにか消えたんだって。特別な理由はないんだよね。
そりゃあ…そうだろうね。それが普通だと思うよ、きっと多くの人はこうだろうな…。
でも、哲のこと考えるとさ、可哀想だよね…。
哲が、東京土産くれって言ってきたとこ、私泣いちゃったよ…。幼い頃の約束、ずーっと覚えてたんだよね。土産持って帰ってくるってあの約束。そんな怖い顔で、そんな凄むように土産を要求する哲の姿に、この子は全然変わってないんだなって思って、変わってないって事が逆に切なかった。
土産…買ってきてやりなよ大樹…。こんなに一途に想って待ってたって言うのにさあ〜…。
ヤンキー座りで大樹の働いてるとこ監視してたりする姿すら愛しい。怖い顔作ってるだけで、もう大樹の事好きで好きで仕方ないって行動に出てるんだもん…。

そんで哲はね、変わってないどころか凄く成長してるんですよ。とても逞しく、真っ直ぐ育っている。
自分の情けなさを正面から受け止め切れない大樹に投げつけるたくさんの言葉が本当に強くて印象的です。
東京で一花咲かすって、種も持たずに出て行ったのに咲くわけがないって。どんな花咲かすつもりだったんだって大樹を責めるの、とても納得する言葉よねコレ。
あとはっきりと「てめえいやな奴だな」って言ったり、これハッとしたね。そんな真っ直ぐな目で言われたら自分を恥じちゃうよね。
とんでもねえ恩知らずだ!とか、薄情な男だ!とかさ、もうずきずき来るんだけど、凄い正論なんです。
田舎で伸び伸び育ったから言える言葉だとも思うし、十代だから主張できる真っ直ぐさなのかもしれないですけども。
東京までついてきた根性といい…ほんっとに気持ちの強い男で、カッコよかったなあ。哲には物凄く感動しました。

強い言葉と強い気持ちで自分を暴き立てる年下の男に、自分のいやな部分を次々と目の前に並べられて、大樹のズルイところとか、弱いところとか、かっこ悪い部分がどんどん赤裸々になってく。
だけどそれだけじゃなくて、カッコつけた顔の下にある本心も一緒に出てきて、大樹が解放されてく感じが、ただ可愛いだけのお話じゃなくて、凄く芯がしっかりしたお話というか、読み応えがあって面白かったんです。なのに切なさもキュンも凄くあったし。
惜しいところといえば…この後の二人が読みたいよなあってことよね〜…。
面白かっただけに、しっかりラブしていく二人も見たかったな〜って思うよ。2003年の話だから今更続きが描かれるなんて事はないだろうけど。

あ、表題作のほうは機会があれば続きも描きたいみたいなことを仰っているので、もしかして続きが読めるかもしれませんね、それは嬉しい!





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Catergory in [comics : や]大和名瀬 comments(0) -
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