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ストロボスコープ * ヤマシタトモコ

ちょっと遅くなってしまいましたがやっと読んだヤマシタさんの新刊。
いや〜…ちょっともう…めっっっっちゃめちゃ好き…!!!!も・の・す・ごーーーーーっっく!!!面白かったーーーー!!!!
はー…ちょっともういろんなこと考えちゃったなあ、久しぶりに読んだヤマシタさんだけど、久しぶりだからこそ、あれこれ色々考えさせられたわ〜…。

とにかくね、こんなに面白かったというのはもうはっきりしていて、表題作の『ストロボスコープ』がよかったんです。
とにかくこの短編一本です。他の話も面白かったけど、とにかく飛びぬけて一番よくて、私がこんなにも感激しているというのは、この『ストロボスコープ』です。
ほんっとに面白かった。

ヤマシタさんBL暫くコミックス出してなかったけど、出してた時代も最後のほうはこういうタイプの話、描かなくなってましたよね。印象なんだけど…初期に近い気がする、割とストレートな恋心が描かれてて、よかったなあ。
それに、主人公のおっさんが私…もう…タイプで…。
好みで好みでタイプでタイプで、ど真ん中過ぎてさあ。痩せてこけた頬、顔の皺、垂れ目、巻き毛、目の奥の孤独。
凄い表情なんですよね、なんて顔を描かれるのだろう…と、もう見てるだけでぐわ〜っと落ちていきそう、落とされそう。

で、この寂しい中年と、その中年を好きでいてくれる青年がいて、読んでる間に、この中年の寂しさが報われる瞬間を凄く待ち望んでいるんだけども、いつ捨てられるか、裏切られるか…みたいな緊張感もあって…それはやっぱりヤマシタさんだからっていうのがあるんですよね、恋の刹那を切り取った瞬間に終わってしまう作品を描かれる事が多かったからさ、恋の成就まで描いてくれないのではないか…という疑いがあったんです。
だけどこう…なんつうんだろ、久しぶりに物凄い満足感をヤマシタ作品から貰った気がして、滅茶苦茶感動したんですよね。元々ヤマシタさんの絵がね、ヤマシタさんの作品に出てくる男の風情がとにかく大好きだからさ、その男たちの寂しく甘い恋愛なんて読ませてもらったらほんと…なんか…ありがとうございます!!!
って感じでした〜…。

はー…もうほんっとに…これだ!!
って感じ。私こういう話がとにかく大好き。

あ、大事な事を言い忘れた。この本、半分はエッセイ漫画なんですよね。短編4本と、エッセイ漫画が同じ分量くらいで入っています。まあ正直言うとエッセイ漫画より物語が読みたい訳だけど、表題作があまりによくて満足させてもらったので、後は割りと何でも受け入れられた。
で、エッセイもまだ実はじっくり隅々まで読んだわけじゃないんだけど、ただとにかく何回も言うけど、エッセイでもなんでも、ヤマシタさんの描く男が好きなわけよ。描かれていて、それを見ているだけでなにやら凄く満足でよい気分になれました。ので、いい!

はー…ではそろそろ内容についての感想を…。
ネタばれます。




表題作の内容は、さっきも描いたとおり、寂しい中年と若い青年の恋の話です。
小さな田舎町で唯一の喫茶店を営んでいる中年男、和さん。常連のおっさんたちも皆知り合いで、他人のプライベートも筒抜け。だから、和さんがゲイだって事も皆知ってる。皆知ってて、和さんの性癖を「病気だから…」と噂する。無責任で心無い噂の中で、和さんは何もかも諦めたような冷めた目で、あんまりやる気もなく淡々と喫茶店のマスターをやっている。
そんな和さんの店に、ある時から一人の若者が住みついた。レンジは若くてカッコよくて、ノンケで、はっきりした男。何を考えているのか分からないが、いつしか住みついて、いつしか店の手伝いみたいな事してるレンジの事を、和さんはあんまり深く考えたくない。
何故ならレンジにときめきたくないから。レンジに恋をしたくないから。

…という話なんです、何回も言うけど、すーっごいよかった…!!!!
まず和さんの目がいいですよ。存在感というか、何もかも諦めたような緩い目をして、何にも執着がないですよって顔をしてるし、自分も事あるごとに自分に言い聞かすように、もう生きるも死ぬもどうでもいい、みたいな事を言うんだけどね、でも違うんですよね。
和さんの身体も心も生きて動いてます。レンジの匂いやレンジの気配に、ふっと性の気配を感じて、抱かれる夢想をするくらいの、強い欲望は和さんの中で常に蠢いている。
和さんはレンジに抱かれたい。
けど、抱かれたいだなんて叶うはずもない荒唐無稽な夢じゃないですか、ゲイの中年男が、どうやったらノンケの若い男に抱いてもらえる日がくるというのか。

和さんの人生、凄く悲しいんですよね。
田舎町でゲイだって事が町中にばれて、しかもばれ方も最悪で、どんだけ辛かっただろうなあ。未だに病気は治らない、なんて本人がいる前で言ってしまうような、ご免被りたい他人との距離。そういう中で、辛いと思うことがもうイヤで、心を動かさないようにして今まで生きたんじゃないだろうか。
死にたいって思っても死ぬ勇気はなく、この街を出て行く勇気とか、新しくやり直そうと思う心まで折れてしまって、ただただ留まっていた…そんな人生。家族もなくして一人になった。で、こんな歳になった。

こんな場所でこうして心を動かさないようにして生きたんじゃ、そりゃ恋愛もできなかっただろう。好きになってくれる人もいなかっただろう。
何年も他人に触れたことすらない。恋愛感情なんて一度ももらった事がない。セックスも長い間していない。他人との関わりが希薄で、友達もいなくて、一人で、人恋しくて身体を満たすために、何回かたぶんお金で誰かに抱いてもらうような事もあったんだろうけど、それも満足いくセックスではなかった気がする。余計傷つく事もあっただろうし、虚しくて悲しくてやりきれないような思い、たくさんしたんじゃないだろうか。

そういう中年男の和さんなんです。
もうね、顔がね、好きで…!はー…垂れ目と巻き毛万歳。
しかしそんな和さんの下へ、現れたんですよ、なにやら自分に興味のあるっぽいレンジという若者が…!!
こんな都合のいいこと、そりゃそうそう現実には落ちてないだろうと思う。
けど、こんな風に一人で生きていて寂しい思いを当たり前にしてしまっている中年がいたら、その人の元に好きだと言ってくれる妖精がね、現れるもんなら現れてあげて欲しいじゃないですか。
レンジは和さんに異を投げかけるんですよね、このままでいいのかそのままでいいのかって。
和さんは揺れる。色んなことがとんとご無沙汰なもんで、もうレンジの存在自体にゆれゆれする。傷つく予感…。けど、意識せずにいられない。
…よなあ、こんな若くてカッコいいのが毎日側にいて、住みついたって事は一緒に暮らしてるんだもん。辛いよ。すぐ好きになっちゃう、寂しいから。けど好きになったって報われるでもなし、ならないほうが何ぼかマシ。手に入れられないなら、いっそ知らないほうがよかったってなもんですよね。
和さんの怯えが本当にリアルで、切なくて、しかし色っぽいんです!
ここに色気を感じるのは私が和さんをタイプだからかもしれなくて、こんな寂しい中年男の痩せた顎や飢えた目つきに誰も色気なんか感じないかもしれないんだけど、私はそういうのに凄く色気を感じるんですよ。

和さんの悩ましい表情や、意識して怖いと思っている様や、レンジを見る目つきが、とにかくとても色っぽかった。ゾクゾクしました。
一晩だけの相手とやろうにもできなくて、小さく丸まっていた裸の和さん…。あんまりにも寂しそうで、泣いてしまった…。
裸が綺麗で…情けなくて、可哀想で…。でもそんな和さんがたまらなく魅力的だった。
だから、私には、レンジがこの人に執着する気持ちが凄くわかって、和さんに恋しているような気持ちになって、なんかもうたまらなかったなあ。

レンジに触れられて、俺を馬鹿にするな。って言ったとき、赤い顔をして和さんがそう言ったその瞬間、なんか初めて和さんの本当が出た気がしました。
常にもう諦めた、もう好きも嫌いもなくて、嬉しいも悲しいも恋しいも寂しいもないって、そう言っていた和さんの臆病な心のうちが、あの瞬間、本当は恋がしたい、愛されたい、寂しい、誰かに触れられたい、でも傷つきたくない…。
という、本音が出た気がした。
歳を取るとそういう事を隠すのが上手くなる。だけど、隠すのが上手いだけで、心の奥は誰だって柔らかく寂しく、歳を取ったら寂しさを感じなくなる訳なんかなくて、歳取ったって若くたって、一人は寂しい。寂しいんです。

赤く染まった和さんの、皺の刻まれた頬に、愛されたい和さんの本音を見た。
欲を見た。
その瞬間、ぶわ〜〜〜っっと泣いた。
レンジの無遠慮で強引な手に、救われているのに、その手はまるでナイフのように和さんを刺している気がした。暴かれて和さんは瀕死。
でも、その瀕死を経験しないと、きっと和さんは自分で作った居心地のいい隠れ場所から出ていく事ができなかったのではないか。
レンジのナイフは和さんに必要だったんだと思う。

誰かから好きだといわれたことなんかないという和さんの泣いた顔が、本当に嬉しかったよ…。そう言って泣ける人であって欲しい。恋しいも寂しいもわからないなんて言って欲しくないよ…。きっとその先に幸せはないと思うからさ。

はー…幸せ。
抱いてもらって本当によかった。
よかったなあ、和さん…生きてて。

ほんとにね、何とも心揺さぶられる、私好みど真ん中のお話でしたよこの話は。
はー…面白かった。
和さん好きだよ〜…。

えー…そんな訳で他にも幾つか短編あったんですが、この表題作がダントツで面白かったのです。ヤンキーの暴力的なお話はもう読んでるだけで痛いという感じだったんだけど、ヤマシタさんは珍しくロン毛受の方なのでそこがとても嬉しかったりして、痛いけどびくびくしながらも面白かった。
他の短いのもそれぞれヤマシタさんらしくて面白かったです。

で、エッセイですが、こっちはパラ読み〜…。
だったんだけど、いい男がいっぱい出てくるので結局割りと読んじゃったなあ。ヤマシタさんの描く男ってどうしてこうも色っぽいの?

気になったのが、端々で言われる「こんなのBLじゃない」って言葉。ヤマシタさんが周囲からそう言われるんだ、という話ですが。
私、この言葉があんまり好きじゃないんですよね。前々から言ってるんですけども、これがBLじゃないなら何がBLなのかって事なんですよ。その、何かの作品を指して「これはBLではない」という人が思っている「BL」というもの、私絶対にどんなものであっても、納得しないと思うんだよね。「BLはこうだ、これがBLだ」って、決め付けるのが嫌いなんです。勿論男同士のラブであることは大前提ですが、それであるならば、他はなんだっていいじゃん?私、色々読んでいるけども、「こんなのBLじゃない」なんて思ったこと、あっただろうか。ないと思うんだよね。
BLはこうあるべき、みたいに言う事も、それを押し付ける事も、そこに準えてお話を分類することも、分類して感想を言う事も、私は嫌い。

というわけなので、どんな話をBL作家さんが描かれてもいいと思います基本的には。
ただやっぱり好まれる好まれないはあると思うから、一般受しない話は商業で描くのは難しいと思うけどさ。
でもそれは"BLではないから受け入れられない"のではなくて、"読者の好みの作品ではないから受け入れられない"ということですよね。
BLはこういうもの!!
って、言われれば言われるほど、BLを馬鹿にされている気がするんですよね私。

ま、私がいちいち引っかかってしまうその単語の事は置いとくとして、ヤマシタさんの好きなおっさん受、ヒゲ受、私好きだわ〜。あとセレブが範疇外とか、うんうん頷いてしまった。
随所に趣味が合うなあ!と思うところがあって、がしかし合わないなあと思う事もたくさんあったわ…。

攻様の話が笑った、攻様ってあの何でもできるスーパーな攻の事を言うの?
私苦手なあまりそういうの全然読まないから攻様の事がよく分からないよ〜、でもなんか面白かった。待てよ、もしかしてたぶんそういうスーパーな攻様がイヤっていうよりも、そういう攻の相手が大抵年下のやんちゃだからいやなんじゃないかな…って、今気付いた。スーパーな攻の相手がどん底貧乏で貧相で痩せた中年だったらめっちゃ面白いかもって思った、今。

…こうしてとことん私に嫌われる年下のやんちゃ受…。
年下のやんちゃが一体私に何をしたというのだろう…。

あと腐女子という病も興味深かった…。
だって私に当てはまらないから。
腐女子って単語に抵抗があるのでほとんど使いませんが…このヤマシタさんのエッセイに準えて考えると、私は腐女子ではないのでなかろうか。
だって、全然そんな妄想しないもん。妄想と分かってて虚しいから、何も考えないようにしている。
そんな訳なので、"激しく萌えた時期"がないから、飽きる時期もやってこない。いつまでも同じものが好き。(そしてやんちゃ受がしつこく嫌い…)
大体二次を読まない妄想しない私に、ブームはやってこない…。

…おかしい。
私はいつからこうなのだろう?
私、昔はこうじゃなかった。妄想してた。特に生きている男に妄想してた。たぶん十代の頃激しい"腐女子"だったと思う。
けどいつしか、そういう類の"萌え"?はほとんど一切やってこなくなった。
私が思うに、あまりに激しい腐女子っぷりだったがために、妄想の中でしか存在しない男同士のカップルに、いつしか絶望したのではないだろうか。もう、どうせないものを妄想するのが、まるで現実に裏切られているような行為に思えて、少しずつ虚しくなっていって、少しずつうんざりしていって、いつしか、夢を見るのはやめよう……と自分に言い聞かすようになっていって…学習能力著しい私は、妄想をやめてしまったのではないだろうか。
結局私は、半端ない男同士カップル好きなのではないだろうか。
…ってこれ、いつも辿り着く結論。
私、男同士のカップルが好きすぎる気がする。もう半端ない。半端なく好きすぎて、妄想の中で何が起こったって、私の頭の中にしかないものは、ないのと一緒ですから!それと一緒で、他人の頭の中で繰り広げられているものも、私にとってはないのと一緒。
だから、それよりは、紙の上にある真実を…。
要するに、オリジナル・BL・ストーリーを!!!!
って事なのかもしれないですね。
違うかもしれませんが、まあなんでもいいですけどね。

えーっと話があちこちずれてますけども、そんなような事を考えてしまうような事がいろいろ書いてあって、面白かったんですよ〜。
ってことでした。




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1/2〜7
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以上の記事と携帯から拍手を頂きました。
どうもありがとうございました!

お正月の間にも記事を読んでいただいて、拍手してくださったりコメントしてくださったり、色々ありがとうございました!
今はちょっと時間があるので、毎日書いてるでしょ?頑張れております。書けるときに書いとかないときっといずれ切羽詰る時期がやってきそうなんで、戦々恐々としながらもまあ何とかね…。

えーとアンケートですが、送ってくださった方々、本当にご協力ありがとうございます!!
まだまだちょびちょび…って感じなのですが、これからちょっと増えてくればいいなあ〜。
まだ1月の終わりくらいまでは置いてますので、ぜひご協力をよろしくお願いいたします!

で、その前に自分の年間ベストを決めなきゃですね。
もう大体決まっているんですが記事にするのに時間掛かって…。近いうちにやりますね。

あと、ツイッターを表示してたんですが、今ブログに表示するのはやめてます。アイコンクリックで呟き見れますが、まあ大したことは呟いてない…。
けど、今年はこっちのアカウントを主に動かそうかなと思ってるんですよね。私は元々独り言の多い女なので、どうせしょうもない事しか言わないと思って、表示するのをやめたというわけなのです…。





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Catergory in [comics : や]ヤマシタトモコ comments(0) -
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