人間の一番無防備な部分 * 舟斎文子
舟斎さん面白いな〜!今回も面白かったです。
短編集で色々入ってるんですが、短すぎてもっとこの先が読みたい〜っていうのも多かったです。けど、物凄くキュンって来る話もあったしそれに、とにかくもうチビ絵がキューピーみたいで可愛くって可愛くって、私舟斎さんのこのチビ絵見るだけで泣きたいくらいきゅ〜〜ってなるんですよね。
なので、このチビ絵を延々見ているだけで相当満足できる…!
けどお話もちゃんとよかったですよ〜。結構古い絵のもあったんだけど、お話が凄く良かったし…この古い絵のお話、私一番好きだったかも。
んで一番最後に入ってるショート、もっともっと読みたい。
相当読みたい!!こんだけなんて勿体無いよ〜!可愛すぎてズキズキした…。ギャグなんだけどギャグになってなかった、もう可哀想で〜!
あんまりにもいたいけっていうのも本当に罪!
以下ネタばれます。
表題作がとにかく私、物凄い色々共感するお話でして、恋愛部分以外のとこで分かりすぎて恋愛どこいった??みたいな感じで明後日の方向に共感しすぎもよくないなと思った…。
と、言うのはですね、この主人公のサラリーマンの山下は、蟻が大の苦手で怖くて仕方がないのです、幼い頃の経験により。ある日自分の部屋に蟻を見つけて、ひいいい〜〜っとなっているところに、隣人が訪ねてきて、助け舟とばかりに隣人の島原に、あの蟻をどうにかして欲しい!と頼み込む。そうするとどうやら凄く虫好きならしい島原は、蟻の侵入口を塞がず殺さず、蟻の見張りをするとか言い出して、蟻がこれ以上山下に近付かないように、毎日のようにやってきて蟻を見張ってくれることになり…。
という話でした。
今となっては、この二人がいつくっついたのか薄っすらとした記憶しかありません。ただ私の頭の中には、虫を異常に恐怖する山下の言動だけが強く残っていまして、何故なら私も一緒だからーーーー!!
もうどんだけ共感したり島原に突っ込んだりしたことか…!
目の前にいると思っただけで跨ぐ事も怖いよな〜分かるよ山下!昨日ココにいた、と思うだけで触るのも嫌だよな〜一緒だよ山下!嫌いで怖くて見たくないのに目を離した瞬間にいなくなられてどこに行ったかわからなくなるのがイヤで、目が離せなくてじーっと監視しちゃうよな、分かるよ分かるよ〜〜〜!!ほんと虫とにらみ合いだよ…!
私が嫌いなのは昆虫全般ですが、一番嫌いなのは手足がない奴です。…とここに書くだけでも全身にブツブツが出るので字にするのも嫌なんですけどもとにかく昆虫の何がイヤって、節がイヤです…!!節足動物というだけあって、彼らは節がある生き物です。しかしあの節がイヤなのです、怖いのです〜!!
これは私の大きな悩みで、これが怖いせいで生き難いったらないんですよ。できるものなら平気になりたい。彼らは存在しているだけで、ほとんど私に害をなすでもないのに、どうしてあんな小さいものが存在しているだけで怖いのだろう?
怖がる私が悪いと思うの…!だから怖い自分をどうにかするだけで人生はきっともっと楽しくなると思うんだよね、ね〜〜〜山下〜〜??
…と、山下に話しかけながら読んでしまったのは言うまでもない。
なので島原が、この蟻はこの甘い密が目的で他に目的はないので放っておいても大丈夫だ。 …とか言うたびに、いやいやいやそういう問題じゃないから…!!!
と島原に突っ込むのが忙しかった。そんな事いいからとにかく侵入口塞いであげてよ〜〜!!って…。
がしかし、こうして島原が通って蟻の監視をしてくれることにより、山下と島原の距離は近付くのであった…。
島原の優しさに山下は惹かれて行っていつしか好きになるようだけども、島原にはあんまりそういう気配が感じられなかったので…虫好きのマイペースな面は描かれてたけども、山下への思いってよりも虫に対する愛情しか描かれてなかったような気がするんですよね。だけども山下が告白したら速攻キスしてセックス…ってえええ???
これは驚きましたよ、とても急でした!もっと島原の恋心を描いて欲しかったよ〜。最後だけいきなり急展開でした。
うーん勿体無い。
けど虫を怖がる山下がすっごく面白かったので最終的には楽しかったです。チビ絵も可愛かったし。
それから次に入ってたのが凄く面白かったです。『野良は出て行く何度でも』という話で、書かれたのが相当前で、絵もかなり違う。
けど振り回される年上の受が切なくって、この話が私一番好きでした。
玉紀には恐ろしくヒモ体質の八ツ目という高校の時の後輩がいて、八ツ目は玉紀の家に居ついたかと思えば彼女を作って出て行き、別れたと言っては戻ってきて、また女を作って出て行く…という事を5年近く繰り返している。すごいいい加減な男だけど、玉紀はこの後輩に実は片思い。しかし気持ちは言えず、内心で健気にも、後輩が女と別れて帰ってくる度にホッと喜び、甘やかしている。でも、そんな片思いもそろそろ限界。八ツ目が出て行くかもしれない事に怯え、そしてまた他の女の下に行ってしまうのを見ているだけの日々が辛い。いつまでたっても自分は彼の先輩以上にはなれないと、切ない気持ちを持て余しているある日、仕事から帰ってくると一枚の置手紙が。彼女の元へいく、という八ツ目の置手紙で…。
という話でした。
これは泣けた〜…。ろくでもない甘え上手の男に惚れてしまった先輩が切ない。
それでも世話を焼いたり甘やかしているのは幸せで、女の下に行っちゃうというのに、後輩の世話を焼いちゃうんですよねえ。本当に後輩悪いよ!悪い奴だよ!でもオムライス作って〜…とか言うのがムカつくんだけど可愛いのはだから舟斎さんの絵のせい!ほんっとチビ絵可愛いです、睫毛きゅるんっとしてて。でもほんと罪な男だよな、置手紙見て涙を流す先輩に、一緒に泣いちゃったよ〜…。
そんで先輩が荒れてる時に慰めてくれた男、この人カッコよかったよね〜。何にも悪い事してないのにもうちょっとで後輩に殴られそうになってドキドキした、こんなに優しくて可愛い大人が理不尽に責められるなんてイヤなので、ギリギリで回避できてよかった。
しかしこの後輩、最後くらい先輩を思いっきり甘やかしてやればいいのに、最後の最後まで甘えん坊だったなあ、いいとこで一緒に泣いて結局先輩に甘えてる…!
なんてダメな男なの〜!と思いつつも、こんなダメな男だからこそ、先輩の切なさが際立ってよかったです。
やっぱ健気な年上受にはダメな年下ですね!
そしてもう一個好きなのがあって、最後らへんに入っていた、高校生の同級生モノ。世話焼きの受と、世話やかれ放題で自分では何にもしない攻の話。これも凄い面白かったです。
受の子が、自分なしでは何にもできないからと、あれやこれやと攻の面倒を勝手に見て、おまえは何にもできないんだからッッて、過剰に世話を焼いたり怒ったり、攻の周りで勝手に必死にぐるぐる大騒ぎしてんだけども、実は攻は一人で何でもできるんですよね。実は自分がいたせいで、あいつは何もできなくなってしまったんだ…ってふと気付いて攻から少し離れようとするんだけども、そうしたら今度は攻が本性を出して、これまでぽやーっとしてたのに実は腹黒い奴で、自分から離れない、自分しか見てない受で居てほしいから何もできない自分を装っていた、と。
この受がね、凄いなんつうのかな、活き活きしてるというかね。感情が瑞々しいんですよね。
幼馴染みがあれしないこれしない、あれもできないこれもできないと、いっつもカッカ怒りながらせっせせっせと世話をやくんだけど、世話焼きたい!何もできないこいつに自分が必要なんだって確認したい!!っていう、本人気付いてない深層心理がダダ漏れなんですよね。攻が自分勝手に行動したら、なんで自分に言わなかったんだー!!って凄い怒るんだけど、別に普通に考えたらそんなの言わなくていいよね、他人だしね。だけど、自分の言ってる事の矛盾には全然気付かない。
しかし、ある時ふと気付くんですよね。あ、自分なんかあいつにはいらないんだって。
そういう気持ちの変遷っていうのかな、それがとても瑞々しかった。凄く分かりやすくて、いじらしかった。
自分だけのものだった攻の子のカッコよさを、他の人が認めるのを凄く嫌だって思ったりとか、女子にもててるのを見て、もうものすっごくヤキモキヤキモキするの、そういう感情を全然隠さなくて正直で、物凄くまっさらなんですよね、未熟なその感情がそのまんま、凄く可愛くちゃんと描かれてるんですよ。とても可愛らしいです。攻の子がモテはじめる妄想で頭がいっぱいになったりとか、可愛すぎて笑っちゃう!
なのに、もしかしてあいつに自分はいらないのかも…って思い出した途端に、自分の自信をいっぺんになくしちゃうんですね。泣いてるのが可哀想だった。あんなに自信たっぷりに面倒を見ていたのに、凄く存在が小さくなってしまって、びくびく行動し始めたり…。
単純な子なんだけど、その単純さが愛しいというか、活き活きしてて、可愛らしくて、凄くキュンとした。
結局攻の子が腹黒で、そういう受の子の自分でも気付いてないとこを全部分かってて行動してたって事だったんだけど、この話すっごく面白かったな〜。
最後の最後にはやっぱり受の子の正直さが勝つ気がするな、一回り成長したと思うし、腹黒い子よりも素直な子のが、人間関係では結局勝ちますよ、素直さには勝てないから。
んで一番最後に入ってたショート!
これがもう、え、もうどう言ったらいいの…??子供が可愛すぎて紙一重で物凄い可哀想なんですけど!もうギャグに思えない、笑えない〜!
あんなつぶらな目をしてきゅるんっとした睫毛で、一途にお父さんを見上げる子供を、幾らわかんないからってこのおっさん、色々もっと気をつけなよ!あんた色々失格!!
お風呂入る前にきゃーきゃーはしゃいでんのとか、胸で寝てんのとかおっさんにクイって食べかし差出てんのとか…こんなにこんなにこんなに可愛いのに、このおっさん踏んだり叩いたり…悪気はないとは言え許せない!!こんなにも許せないなんて自分が不思議なほど許せない…!!
だからこそ、数年後にまんまとやられちゃえばいいんだよ!!
ぜひともそこまできっちり描いてこの許せない気持ちを昇華して欲しかった…。そしてそんなおっさん受読みたいじゃないスカ…!!
しかしこの子供可愛かったなあ〜…。
舟斎さんはね、絶対子供モノ描いたらいいと思う!こんだけ可愛い子供を描かれる方だし、もう絶対に当たると思うんだけどな!
あと二話ほど超ショートがあって、あれこれ抜かしたあらすじみたいなお話だったんですが、もっとじっくり描いてくれたらもっと凄く面白かったろうになあと思うと設定が勿体無いです。
特にアパレル関係に勤めてる我侭な年上受!これもっとじっくり恋愛の過程を描いて欲しかった〜。こういう無茶な年上に必死な年下攻っていうのも凄い好みなんですよね、きっと絶対面白いに違いないのに〜。
でもまあ全体的には面白くて、好きな短編集でした!
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17〜19日
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以上の記事と携帯とサイドのボタンから拍手を頂きました。
週末はかなり調子が悪くて更新できなかったのですが、拍手くださってありがとうございました〜。
来週はどうだろう、忙しいんだけど色々体の事もあるし、でも新刊も読みたいんだよな〜。
うーんまああんまり無理せず頑張りマス。
- 欲しがりません収穫までは 2 * 舟斎文子(2011.03.05)
- 欲しがりません収穫までは 1 * 舟斎文子(2010.10.15)
- ポチとタマ * 舟斎文子(2009.09.08)
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