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フラッター * 天禅桃子

面白かったですー!凄く好きだった〜!
まず見てくださいこの表紙。この表紙を見た瞬間から、なにやら興奮してしょうがなかったんだけども、なんだろうね、綺麗で色気の或る大人の男がスーツで二人並んでいて、このシンプルさにきっと大勢の人がドキドキワクワクしたんじゃないかと思いますが私もです!この美しい男たちの間に一体どんな恋模様があるのかと期待が高まって高まって。

がしかし、その期待に見合った内容でした、凄く面白かったです。
私の仲間内でも凄く評判がよくてみんな面白かった面白かったって言ってた。

今回の話は、サラリーマンの男二人、ゲイとノンケが恋をしていく様子を、天禅さんならではの繊細さで、過去の恋や心の傷を交えて丁寧に描いていたという第一印象です。美しい表情や印象的なシーンが散りばめられてキラキラしていて、キラキラはしているのにふわふわはしていないというか、リアルな恋愛の言葉や瞬間も、その中にはちゃんと存在している感じがして、全体的に丁寧で真摯な姿勢が、私は凄く好きだった。

以下ネタばれます。





この二人、表紙を見ると、一見受攻が分からないような容姿ですよね、でもまあ天禅さん的には大抵向かって右が受じゃないかなあ…と予想していて…まあ、何となく。
当たってました、よかった。大抵の場合で、天禅さんの受攻は私の好みなのです。たまに違うんだけども70%は合うはず…。
後書きで天禅さんも仰っていましたが、攻攻ってより受受だよね、納得です。でもたぶん、これ向かって左が受だと私はきっとたぶん受け入れづらいのです、なんでだろうねえ…この辺の人それぞれの拘りってわかんないよね〜…。
と、昨日も散々友達達と語り明かしたのでした…。5時間ぶっ続けでBLについて語り明かして楽しかったです。
…なんて事は置いといて、この本の内容。

会社員の浅田は、同じ会社の観月の、同性でも見惚れるくらいのあまりに綺麗な容姿や雰囲気に、毎朝見惚れていて、どんな人間か話してみたいと思うくらいには気に掛けていた。
そんな観月と一緒に仕事をすることになって、話をするようになると性格もよく人当たりもいい観月に、浅田はますますいい印象を持つ。だけど、同僚たちから観月がゲイである事をカムアウトしていると聞かされて、浅田はこれまで以上に、妙に観月を意識してしまうように。
そんな時浅田は、誰かと電話して泣いている観月を目撃してしまう。彼の涙を見た瞬間に、浅田は自分が観月を好きな事に気付く。

という所から始まる話です。
浅田と観月の間のストーリーは、いたって地味で、派手な事が起こる訳でもないんですね。
ただ、過去の恋で傷ついていて、その恋を失ってしまった観月と、そんな彼を好きになってしまった浅田の、本当にじっくり丁寧に進んでいく恋の話なんです。

初めは仕事もできてソツがなくて、余裕たっぷりの笑みしか見せない大人の男の観月が、どういう男だか全然分からない。この人はとにかくギリギリまで自分を出さない人なので、凄く謎があるというか、含みのある男で、悪い言い方したら得体が知れないです。
そんな男を気になってしょうがない、素直すぎる人当たりのいい誠実な男、浅田。浅田の目線から見る観月は、本当に美しく魅力的な男で、浅田は何度も何度も観月に見惚れるんですね、見惚れるくらいだから物凄い気合入れて、観月を魅力的な容姿に描いてくれているんですよね、浅田と一緒にこっちも何度も観月に見惚れます、ほんと綺麗な男です。
天禅さんの受は本当に睫毛が色っぽいですよね、バサバサ睫毛って訳じゃないんだけど、ちょろっと見せる睫毛が綺麗で色っぽい。ってか大抵睫毛に気合が入ってる方が受ですよね。

で、そんな風に綺麗で何者か分からない観月なんだけども、実は過去に凄く辛い恋をしていて、それをずっと引き摺っている。浅田が見た観月の涙は、まさにその色々あった恋人と別れようとしている、彼に失恋した瞬間だったんですね。
観月はその恋を勿論すぐには忘れられないんだけど、浅田が側に居たことで気持ちは浅田に動いていく。
絶対に忘れられないような強い思いが長い間観月の中にはあったんだけど、きっとそれを長い間持ち続けている事に、観月の元恋人の先生も、観月自身も、疲れ果てていたんじゃないかと思うんですよね〜…。好きと思うのと同じだけ、辛い思いもしただろうから。もう、好きなのか辛いのかわかんないっつうか、好きだと言う気持ちも実際はほとんど執着と思い出にしがみ付いているような状態のときってあるような気がする…。だから先生は潮時だと思って別れを切り出したんだろうし、観月も、新しい恋への一歩を踏み出せたような気がする。
もうそういう時期だったんじゃないのかなー…。そういう時にちょうど浅田が現れたんじゃないかなあ…。

そんで、浅田が観月を深く受け止めていく過程とか、観月の気持ちが浅田にどんどん乗っていく過程とかが、凄く丁寧に描かれているんです。
観月って思ったことをすぐに口にしない、心の中にとりあえず溜め込むタイプで、浅田は人が良くて、相手が迷惑なんじゃないか傷つくんじゃないかという事を先に考えて、優しさから言葉を飲み込むタイプだと思うんです。だから、二人ともお互いがお互いをどう思っているかという事を、なかなか言葉には出さない。ただ態度では何度も信号を出し合っていて、その信号を読んだり読み違えたり、で、関係が動いていく。気持ちにはっきりした言葉を当てはめるんじゃなくて、微妙な信号の出し合いによって進んでいく。
でも心の行き交いってはっきり色がつけられるものの方が実際には少なくて、カタチのはっきりしないあやふやなものを、感覚でやり取りしているようなものだと思うんですよね、気持ちを言葉にしない人たちは特に。
この大人たちの恋愛には、そういうもどかしいような、でもリアルなような…繊細なところを凄く感じて、そこが凄く丁寧だし、面白いところだと思ったんです。

例えば観月は初めから浅田に恋愛感情を持ってたわけじゃなくて、まずは友達として、人間として気に入って、彼に心を許そうとするところから始まるんですよ。好きだなんだの前に、まず心を許せるかどうか、なんだよね。でもそれって当たり前のような気もする。
ゲイだってことで相手に距離を置かれることに慣れてしまっている観月は、浅田との距離を慎重に慎重に測るんですね、気を許せるかどうかっていう、それだけの事を判断するのにも割と時間を掛けている。だけど、それほど慎重なのに、それでも人間はロボットじゃなくて揺れる心を持っているので、優しくされたり気に掛けてもらったり、素直な態度で真っ直ぐに来られると、ペースを乱されて慎重さも足りなくなる。それで、「友達になれるかも…」なんて言っちゃうんですよね。
常に落ち着いていて、感情を乱したりしないように見える観月が、自分のペースで物事を進められない、誰かに乱されてしまうという所に物凄く色気を感じる。
それに、なんつうんだろ、君だったら友達になれるかもしれない、なんて言葉一つ吐くだけのことを、こんだけ丁寧に描いてあって、しかもこれだけのエピで、観月という人の大部分を見た気になれるんですよね。
丁寧だっていうのは、そういう事だと思うんだよな〜。
詳しくゆっくり描けばいいってもんじゃないっていうか…如何に一コマでいろいろ説明するか、そして伝えるか、だと思うんだよな〜。そういうのが凄く上手いなって思う、天禅さん。

で、観月の過去の恋が本当に悲しくて泣いてしまったんだけども…。
先生、凄く悲しかったです。観月も先生もお互いに悪い事をしたって思っているけども、はたから見れば全然そんな風には思えないね。だって先生は観月が側に居たことで、恋人を失った寂しさを、ほんの少しでも埋めて貰っただろうし、観月だって、先生の苦しさを自分で癒せたんなら本望な筈だし。
まあそういう風に割り切れないからこそなんだろうけども。
先生と観月と先生の恋人の話を読んでみたいけども、こんな風に結果が見えているのなら、読んでも苦しいだけだなあ、恋人が生き返りでもしない限り…。

観月は何度も何度も泣くんだけども、その度に本当に悲しくて綺麗でもどかしい気持ちになったなあ。
観月の涙、そりゃやられるわ〜…。
観月がどんな思いを持っていようとも、この気持ちは自分だけの気持ちだから簡単には消せないと言いきった浅田、カッコよかったですね。
そんで深夜に泣いている観月の元へかっ飛んでいく浅田。男っぽいです、ステキです〜…。

傷ついた心を前に、もどかしく迷って悩んで、だけど一途に思い続ける浅田はほんとカッコいいんだけど、今一歩のとこで押しが弱いので、なかなか二人の関係も前に進まなかったな、まあ観月の傷が癒えない限りは、浅田がどんな強引な事したって気持ちは動かなかっただろうけど。
でも、やっとこれで両思いかって思ったら、今度は浅田が身体に触れるのを躊躇して、観月はまたノンケにはハードルが高いだろうからと遠慮して…って、いっつもこんな風に進むかと思うところで引き戻されるんですよね、本当に浅田は何だかリアルに誠実な男でしたよ、お約束のようにセックスに持ち込まないところなんて特に。どんな時も、好きだから大事にしたいっていう信念がぶれない男でした。

観月の意地っ張りなところにも何度もキュンとしたな。
エッチしようとして浅田に拒否られたり、意識しすぎて避けられたり、連絡取っていいかと言って戸惑われたり…勿論全部浅田にしてみれば好きすぎる気持ちから戸惑ってるんだけども、観月にしてみれば、避けられた拒否された…という事実は勿論辛い。それで内心傷つくのに、平気な顔をつくって冷静なふりでその場を切り抜けようとしちゃうんだよね、平気なふりをしちゃうんだよね。
そういう観月が凄く切なくて、一瞬だけ傷ついた顔をするから余計に、何度もズキンっとさせられた。

あと観月さんは、髪下ろして眼鏡掛けてる姿が凄いステキでしたね。

私的にはこの二人はリバとか全然考えられないんだけど…まあ天禅さん的にもそれはないような気がするんだけど、ただ観月のように、以前攻だった男が受になるパターンって珍しいですよね。
私は断然好きなんです、以前攻だった男が受になるパターン、かなり好きです。そしてそんな人にはそれからの人生は概ね大体、受でいて欲しいと思います…。

ま、そんな事は置いといて、とにかくほんと、心の変遷を丁寧に描いてある繊細でキラキラした綺麗な恋物語でステキでしたよ〜。





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Catergory in [comics : た]天禅桃子 comments(2) trackbacks(0)
Comment
ヨルコ says : at 2011/11/12 01:34
私も泣きました〜。
綺麗で切なくて、しっとりしたいい話でしたよね。

観月の言葉や浅田の誠実さなど、ハッとくるものがたくさんありました。
先生の存在も切なく悲しかったな〜。
はしょってない丁寧な恋愛マンガだったなあと感じます。

そして天禅さんの絵がまた華を添えてましたよね!
まりみや says : at 2011/11/09 11:41
読みました、やっと。そして号泣でした。相手が亡くなってしまうお話は残された人たちの感情の行き場がなくて物語なのに苦しくてたまらなくなります。
観月さんのやるせない気持ちがすごく苦しくて、最後の先生と
別れるシーンは堪りませんでした。本当に浅田くんいてくれて良かったです。
浅田君は本当に本当の意味でいい男でしたね。観月を好きと気づいてからの彼の行動・言動は本当に観月のことを先に考えていて(それが観月にとっては傷つく内容でも)観月の先生を思う気持ちごと受け止めようとするところなんかかっこよすぎです。どっかに落ちてないかな、素直でかっこいい男・・・。
そんな感情の動きが天禅さんの美しくもかっこいい絵で丁寧に描かれていて本当に本当に大満足の1冊になりました。
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