Archives by Month:
Archives by Category:
Entry: main  << >>

リバーズエンド * 木原音瀬




前回感想書いたキャッスルマンゴーの原作、木原さんが十亀の過去話として書いた小冊子です。キャッスルマンゴーが始まる時、創刊したcabの付録としてついてました。

Cab VOL.1


キャッスルマンゴー 1 * 小椋ムク/木原音瀬


いつか読もうと思いつつも何となく、やっぱり本編読んでから読みたいって気持ちが強くて、手が出ずにいたんですよね。
けど、キャッスルマンゴーの一巻が出て、お話も分かって、大大大好きになって、面白くてたまんなかったので、もう居ても立っても居られず読みました。

んで………なんたる号泣かというくらい、大泣きしました。どうしてくれよう……。
いやもう、とんでもなかった。たぶん今年に入って1位2位を争う大泣きでした。もう悲しくて悲しくて悲しくて悲しくて、苦しくて辛くて切なかったです。凄く切なかった、どうしても切なかった。

はぁ〜……。
私これ、あくまで私はだけど…本編読んだ後に読んでよかったです。
これを先に読んでいたらやっぱり、この話に出てくる人たちの未来を期待したと思うんですよ。やっぱり第一印象と刷り込みって、特に私、凄く左右されるみたいなんですよね。
だから、これを先に読んでたら、漫画の方のキャッスルマンゴーの感想は、きっと違ったものになったかもしれません。

過ぎ去って、あんなに優しい大人になった十亀が頭にあるので、だから読めたし、だから、自分の中でリバーズエンドは終われたと思う。
もしもリバーズエンドが単品でぽんっとあったら、これはどうしても自分の中では終われなかった。
勿論、キャッスルマンゴーがあってのリバーズエンドだと思うので、それでいいんだと思うんだけど。

とにかくさらっとは読めないとても厳しい小説でした。
だけど何回も書くけど、それでもキャッスルマンゴーという未来があるという事を頭においておけば、過去なんだから、と思って読めると思う。区切りはつけられると思う。

以下少しネタばれるかもしれませんが感想です。





内容は、キャッスルマンゴーで、意地っ張りで不器用で純情な万を、優しくあやしていたAV監督の十亀が、高校生の時の話です。

さっきも書いたけど、まあとにかく…大っ号っっ泣…。
貧乏なんです。母親が早くに死に、父親がアル中で、兄弟三人だけで、食うや食わずの生活をしている。ついこないだまでホームレスだったのを、何とかボロいけど一軒家に住める事になって、父親の借金返済と入院費と生活費と全てを一人で支えている、まだ年若い姉と、高校生の十亀と、小学生の弟と、三人で生活しているんです。
とにかくお金がない。満足に食べられない。借金を返済しないといけない。父親は入院している。

そりゃあもう、過酷ですよ…。
昼ごはんを我慢するのが当たり前になっているような、高校生の十亀。食えないし、夢を見ないし、冷たさと辛さを知っているから、望まない、期待しない事が習慣になっていて、たぶん、言っても無駄だから言わないし、思っても無駄だから思わないし、望んでも無駄だから望まない。そういう自分に、幼い頃から自分を作っていったんじゃないだろうか。自分の状況に応じて、生きやすいように。
けど勿論、言わないし、思わないようにしているけど、腹いっぱい食べたいのは当たり前で、普通の高校生のように気楽に…それこそ二宮のように、お金がない=おこづかいが足りないのか?と聞き返せるような、無知で幸せな生活を、送りたいだろうと思うよ。お金がないなんてことを考えた事もない、親の財布からお金が無限に出てくると思い込んでいる無知で鈍感な子供のように。
十亀は言わないし、態度にも出さないけど、心の中は、なんでなんでなんで自分だけが、自分達だけが、と、誰かや何かに恨み辛みをぶつけたいと思うし、誰かを恨んで泣いて喚いて逃げたい自分は、絶対どこかに居た筈だと思う。
でも、十亀は言えない、小春が頑張っているから。言っても叶わないし、小春と俊介が大事だから。

小春が泣きながら、十亀を羨んだり、普通の生活が送りたいと言って泣く度に、十亀は途方にくれたように小春を抱きしめていた。
小春はそれでも、弟がいてよかったって言ってました。弟2人と父親の為に、人生を全て持って行かれたのに。持って行かれたという考え方はおかしいのかな、それが小春の運命だったのかな。そんなのはあまりに寂しすぎる。
小春を裁ける人がいるんだろうか。

小さい俊介も凄く可哀想でした。俊介がお金を持っていかなかったら、こんな事にはならなかったんだろうか…いやきっと、遅かれ早かれ借金は膨れ上がって、小春の選ぶ道は同じだったに違いない。
十亀に取りすがって泣く姿が不憫で、とっても胸がキリキリした。

ただ、毎日バイトで疲れていて、過酷な今をただ生きている十亀に、一つだけ光があった。
それが二宮だった。普通の子でした、素直で優しく、明るい子だった。十亀がこの子に、淡い恋心を抱いたことが、私はとても嬉しかったです。
二宮は、少しも分かった顔をしなかった。大人ぶって分かった顔をして、十亀を思いやったりしなかった。分かったような言葉もいわなかった、きっとこの子はそういう言葉を持っていなかったと思う。
ただ毎日、十亀にパンを持ってきてくれるんですよね。
毎日毎日ずっと十亀の昼ごはんを用意してやる。
私はこれって、とんでもなく凄い事だと思った。
二宮がどういう気持ちで、どういうテンションで、そういう行為をずっと続けられたのか分からないけど…ただ単純に友達思いの優しい子なのか、物凄く使命感に駆られていたのか、何にも考えていなかったのか…私は、全てなんじゃないかな…と感じました。友達思いの優しい子だし、自分がやめたら十亀は昼ごはんを食べられない、という、やめたら即0というのが、現実に直結した使命感みたいなものに繋がっただろうし、そんな深く考えてないってのもあたってるかもしれないと思う。
ただ、どんな思惑にしろ、十亀の腹は満たされた。
もうそれで十分なんじゃないかなと思うんです、私は全てにおいて、そう思うんですよ。
食べられないより、食べられた方がいいじゃないですか。
十亀が言っていた、空腹には慣れていたのに、食べられることが続くと、食べられなくなった時が辛くなるって。
これも真実だと思う。
でも、最初の時点では、二宮がどこまでやるかは分からない訳で、それなら、どうせ食えないなら、一週間でも、一ヶ月でも、食べられた方がいいって、私は思うんです。
…こういうのって、人それぞれ、考え方が違うだろうね。

でも、二宮の屈託のなさは、絶対に十亀を救った筈だし、前より何倍も学校は楽しくなった筈だし、二宮のお陰できっと、笑う事も増えただろうと思う。そんな二宮を相手に、恋愛もできた。甘い気分を味わった。凄く切ない終わり方だったけど、でも…少なくとも読んでる私には救いだった、十亀が人を好きになった事は。

十亀を待っているのはとても残酷な現実で、悲しいという以外に、もうどうしても表現のしようがないし、どう書いていいかも分からない。
もう悲しくて、喉がえらい渇くくらい泣きました。小春、ケーキ食べたかっただろうと思って。
せめてケーキ、食べさせてあげたかったと思って。

先生が割にいい人だった事が、ほんの少しだけ救いでした。
十亀に、頼る大人がたった一人いて、よかったです。

なんか書いてたら凄い泣けてきたのでもうやめよう…。目がかぶれてしまう。

この話を読んでしまうと、十亀の思いを叶えさせてあげたかったとどうしても思ってしまうんですね。二宮への恋心を、どうにか成就させてあげたかった。
けど、先にキャッスルマンゴーを読んでいたので、十亀が成長して、人の痛みの分かる包容力のある大人に成長していて、悟を可愛がっていたのを思い出したら、ああ、あれは過去なんだって思えます。
ああいう恋もあった。けど、十亀の中では終わっている。
成長して二宮に会わなかったら、もしかして終われなかったかもしれない。けど、二宮にあって、許されて、あれを過去にできた。だから十亀は、新しい恋ができたんじゃないだろうか。

今の十亀がすぐ近くにあってよかったです。
そうでなければ悲しすぎて、この一冊は辛すぎたから。

これを読んだ事で、『キャッスルマンゴー』への思い入れも大分強くなりました。
悲しかったけど、読んでよかった。絶対、読んでよかった。





------------------------------------------------------





28〜30日
エンドゲーム 2 * 山中ヒコ  本棚とBL収納  私とロン毛  キャッスルマンゴー 1 * 小椋ムク/木原音瀬  

以上の記事と、携帯と、サイドのボタンから拍手を頂きました。
いつもありがとうございます!





拍手する
Catergory in [novels]木原音瀬 comments(0) trackbacks(0)
Comment
Leave a Reply








Submit
Trackback

with Ajax Amazon