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薔薇色の人生(CD) * 木原音瀬

素晴らしい小説、『薔薇色の人生』のドラマCDでした。

原作の感想はこちら→
薔薇色の人生 * 木原音瀬
更に薔薇色

私が初めてBLCDに感動したのは『美しいこと』でした。が、その『美しいこと』を聞く前から、もしも自分がドラマCDを聞くならば、『薔薇色の人生』のような人間ドラマならば聴いてみたいと思ってました。当時はまだBLCDを聞いた事なかったか、一枚くらいしか聞いてなかった時期で、自分にはとても手が出ないシロモノと思っていたんですが、こんな風な物語ならば…こんな風な世界の、こんな風な男の物語、人生ならば、それをドラマにするならば、私にも聞けるんじゃないかと思ったんです。

そう思ったのがだから…二年以上前なのかなあ?
結局『美しいこと』を聞いて、私のBLCDと声優に対する偏見は、ガラガラ音を立てて崩れ落ちたのですが…新しい世界を知れてよかったです。偏見は、できるなら少しでもなくした方がいいです。
で、その頃からずっと、『薔薇色の人生』はCDにならないのかなあ、いつなるのかなあと待ってました。これこそCDにしたら素晴らしいんじゃないかと思い続けていた。
なので本当に、この一枚を聞くのが楽しみで、楽しみで楽しみでどうしようもなかったです。

声優さんの前情報とかもちゃんと見てたんですけど何しろ、それについては本当に思い込みがないので、見ても忘れちゃうんですよね。声は何となく、あ〜あの声の人ね〜…とか思うくらいには分かるんだけど、あんまり好き嫌いもないし、勿論顔も知らないし…なので何回見ても声優さんが誰だったか覚えられなくて、CD来て名前見て、え!こんな人だったっけ!!って凄い驚いた。

驚いたというのは、なんか…合うのかな〜…って。
吉野さんの声は特徴あるので、私でも何となく分かるんですよ。モモって感じ?そういう感じしないなあって思って。合うのかな〜とか思いながら、まあいいやって感じで聞き始めて、最初やっぱり、なんかモモ若いし、可愛い声になっちゃってるなあ…って思ってたんですよ。
いやでもそれよりも、私の中の吉野さんの癖のある声より何倍も爽やかでビビッた。私の想像は、もっともっと癖のある、なんかあんま爽やかじゃない声って印象だったんですよ。でも聞くと、想像よりずっと爽やかで、思ってたよりずっとモモっぽくなくて、え!!!ってちょっと衝撃的だった。
いや、そういう事ってよくあるんですよ、声優さんって本当に、私が聞きなれないせいかもしれないけど、役によって声が違って聞こえるので凄いなあと思う。
どの役やっても全然声が違って聞こえないのって……遊佐さんとか?友達が好きなのでかなり遊佐さんのCD聞くんですが、遊佐さんって遊佐さんじゃなかったことないよね。それはやっぱりたくさん聞いてるからそう思うのかもしれないな。

あ、まあそれは置いといて。
とにかく、想像よりずっとモモのイメージじゃなかった事に、私凄い驚いたんです、最初。
ところが、ところがですよ。
これが、聞いてるうちに…割と早いうちに、もうね、この人がモモじゃなかったら誰がモモなんだ!!
…と、言うくらい、モモなんですよ。きっちりぴったりモモなんですよ。なんつうモモっぷり。とんでもなくモモ!ここにはちゃんとモモがいた!!
も〜〜〜すっごい良かったんでーすーよー!!!

やっぱり色々聞いて思うんですけど…声優さんのファンで声優さんの声が聞きたいからCD聞くって言うのでなければ、やっぱ特に私みたいなのがこういうのを聞いて、いいと思うか悪いと思うか…は、もう絶対原作に掛かってるんですよ。原作で貰った感動に、如何に沿う事ができるかっていう、もうその事のみなんです。それ以外には思い入れがないからです。
で、やっぱり思うんですけど、原作がいいんです。台詞やシーンや、人間描写。キャラ。原作がいいから、CDもいい。
だけど、原作がいいだけに、CDをちゃんと作ってもらえなかったら、当然物凄くガッカリするし、原作がいいから知らずハードルも上がっている。
そういうこっちの期待や、厳しい目を、よくぞここまで満足させてくれたなって、本当に感激しております。原作どおりの愛しいドラマにしてくれたと思います。

原作を読み返すと、細部描かれてない部分や、変わっているところはあるんですけども、CD聞いて違和感がないくらい、ちゃんと原作の雰囲気が出ていて、百田は百田で、ロンちゃんはロンちゃんだったんです。
とにかくあの百田の、情けなーい感じ…。どうにも哀れで、どうにも放って置けなくて、どうにも愛しい。浅はかなところもあるけど優しくて、暖かくて、バカでダメで小汚いけど、ロンちゃんを好きで好きでしょうがない、その為に生き直そうとしている、何だかとっても綺麗なものを心に持っている優しい百田の、あの感じ。あの感じを、吉野さんが凄く凄くすごーく出してくれてるんです、もう私、物凄い泣いたんです。原作読んで泣いたシーンは、やっぱCDでも涙が出て、もう何度も聞いてるんですが、それでもやっぱり涙が出る。切ないとか悲しいとかの涙というよりも、なんていうか、暖かさに涙が出るんですよね。何だかもう、なんて言ったらいいか分からないけど……暖かくて、優しいから、涙が出るんですよね…。




…と、ここで今原作のロンちゃん視点の方を読んでしまったが為に、30分以上時間が空きました…。あ〜寝るのが遅くなる…。

この感想を書くのに原作を読み返したんだけど、とにかくよくもこんだけ涙が出るなと思うくらい涙が出て、出て出てどうしようもなかった。初めて読んだ時もどんだけかって程泣いたけど、読み返してもやっぱり涙が出る。

以下原作の内容をネタばれるので要注意です。





原作はとにかくいたるところで涙が出て、ほんと何でもないようなところが、凄く胸に染み入ってきて、ボロボロボロボロ涙が出るんだけども、CDでまず涙が出るのが、時計のくだりです。
百田が始めてロンちゃんにプレゼントをするところです。好きだから何かプレゼントしたいと思って、百田なりに高めの時計を買ってプレゼントしたんだけど、受け取ってもらえなかった。それで腹が立って、思わずもういいって、顔も見たくないとか言って怒鳴りつけてロンちゃんを追い返してしまうんですよね。けど、そうした後に、こんな風に追い返したらもう二度と自分のとこには来てもらえないかもしれないと思って、追い返した次の瞬間には捕まえに行く。もうここまでの行動が既に、情けなくて愛しくてしょうがないんだけども、その後に百田が、自分の事を好きじゃないのはしょうがないけど、プレゼントくらいありがとうって笑って受け取ってくれりゃいいじゃねーか…みたいな事を言うんですよ。私はこの台詞が、もうとにかく原作でもCDでも、ダメなんですよ〜〜〜どうしてだろう?この恨み言にどうしてこんなに泣けるのだろう。
で、この大好きな恨み言を、CDで、声優さんが、何とも愛しく、何とも情けなく、まさしく百田だという演技で演じてくれていて、私仕事しながら聞いてたんですけど、ティッシュ取りに走りましたよ、もう泣けて泣けて。

とにかく百田の情けなさ、何だか頼りない、何だか小汚いというこの感じ。これを声のみで表現するって凄くないですか、ホントに凄いと思う、ホントに尊敬する。顔が見えないのに、表情も見えないのに、もうどうしても、ヤマシタさんと木原さんが作り上げた、あの無精ひげの、あのおっさん百田にしか思えなかった、あの顔が浮かんで、あの百田が泣いている姿が、そこに本当に見えるようだった。

それから百田がロンちゃんに時計をプレゼントされるシーン。「俺の事、い、い、いーなとか…」って、言いにくいことを口にする百田の、微妙な心持ち、嬉しそうで、だけど否定されるのは恐れていて、でも少しだけでも期待したいという、この心持ち。本当にそんな気持ちが、台詞に乗っていたんです、とってもリアルに乗っていた。このシーンにも物凄い泣けました。ロンちゃんの告白に、おかしいじゃねーか…と言うところ、信じた事もなかった神さまに、ロンちゃんの言葉や存在を感謝するところ。今思い出しても涙が出る。本当に素晴らしい演技でした、吉野さん。本当に吉野さんのファンになりそうなほどに素晴らしかったです。
百田が自分を卑下する時の演技、どれもこれも、本当に胸に染み入りました。

で、百田の事ばっかり書いたんですけど、ロンちゃんも凄くよかったです。初めは、前野くんも受をするんだなって言うのが意外でした、攻しか聞いた事なかったので。太めの声ですよね。なので、どんなロンちゃんなんだろうと思ってたんだけど、聞くと、固くて真面目で融通の利かない、何か欠けたところのあるロンちゃんがそこにいて、違和感は全然なくて、とても嵌ってたと思いました。

で、フリートークで声優さん2人が言ってくれてたことが凄く嬉しかったっていうのは、原作を読んでくれていて、原作をある程度リスペクトしてくれているのが凄く分かるようなフリートークだったんですよね、私はやっぱり原作派なので、演じている方々が、原作をいいと思って、そこに入り込んで演じてくれるというのが何より嬉しいんですよ。CDはロンちゃん視点の話は入ってないんだけど、こっちもいいから、こっちも演じてみたかった、みたいなことを確か仰ってくれてたんですよね、2人が。これも嬉しかったなあ、そんな風に思ってくれるなんて…リップサービスかもしれないんですが、まったく思ってなかったらわざわざ話題にする事もないと思うので、そういう事を話題にしてくれたことが嬉しいし、原作に何か感じてくれたからこその演技なのかな〜とかも思ったりしました。

で、原作の話なんですけど…。
前から思ってたんだけど、木村がちょっ不憫なような気がしないでもないですよね…。
モモの事を凄くギリギリまで信じてくれてたから、この人が一番割り食った気がして…結局命まで落としてしまって。
でも、木村がこれまでやった事で、どんだけの人間が命を落としたんだろうって考えたら、それはいらない同情なのかも。そういう世界に木村は生きていたんだから、こうなってしまう事はもう仕方がないのかも…。
でも、誰であろうと、私は死んで当たり前だとは思えないので…。自業自得なのかもしれないけども、木村の死も、スルーできませんでした。

それからマニ。最後の方、マニに嫉妬しているロンちゃん可愛いよな〜。
モモが全然それに気づかないっていうのがまたモモらしいんだけど…マニたちともすぐ仲良くなって、誰にでもすぐに慕われるモモに、きっとロンちゃんは、人間的な嫉妬も感じただろうし、勿論百田が気に入っているマニに対して、ヤキモチも妬いただろうと思うよ。

それからロンちゃんの先輩が言ってた事で凄く印象的だったのがモモとロンちゃんの2人に、"歪なものが放つ侘しさのようなもの"を感じたって。
これ、凄く頷いた。これだよなって思った。モモとロンちゃんを、何だか見ているだけで、何気ない2人のシーンを読んでいるだけでなんでこんなに涙が出るのか。何だかとっても欠けていて、歪んでいて、きっと他人から見たらとても間違っているような、とても歪な2人なのかもしれないけども、でもそんな2人の間には、宝石のように美しいものが絶対にあって、2人はそれを育んでいて…でもそれは2人にしか分からない。凄く何だか、やりきれない…2人は幸せなんだけど…読んでる私も幸せなんだけど、なんだかどこか、とても寂しいような気持ちになる。この寂しいような気持ちこそ、この小説の素晴らしさじゃないだろうかと…。完璧なものも、完全な幸せもありえない。2人の間には強い愛情があっても、そこを突き破ってみれば周りには、2人を傷つけるものがたくさん転がっているわけで…なんとかその薄くて強い膜を守ろうとしているロンちゃんの気持ちも、行動も…実はとても不安定な場所にあるんですよね。
いつか壊れるかもしれないんですよね。でも今は幸せ。でも2人の間は守ってあげたい。

百田もロンちゃんも本当に愛しい人間…。
守ってあげたいなって強く思います。

ところでCDの特典で、『後輩の弟』って言う小冊子がついてたんだけど、これは原作読み返してから読もうと思ってたので、今日当たり読んで寝たい…と思ってたけどもうこんな時間で明日約束あるから無理そう〜。

あー…書きたい事書いたかな〜全然書けてない気がする。
とにかく吉野さんの演技がよかったってことと、『薔薇色の人生』の原作への感動は、何をどう書いても、どんだけ書いても書き足りないって事を一番言いたいのでした。





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8日
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以上の記事と携帯と、サイドバーから拍手を頂きました。
ありがとうございました!!

ところで全然どうでもいい話ですが、私最近この薔薇色の人生と、ワンピ61を毎晩寝る前にパラパラやっていて、重ねて置いているんです、ベッド脇に。で、昨日もその調子だったんですけど、ワンピの帯が引っ掛かって薔薇色の帯がビリーってなって結構なショックでした…。
割とそういう、帯とかも大事に残しておきたいタイプです、特に木原さんの小説とか、長年愛読すると思っているものは。

なので帯をカバーの中にしまいましたよ、これ以上傷つけない為に…。




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Catergory in [novels]木原音瀬 comments(0) trackbacks(0)
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